2008年 日本 128分
監督:西谷弘
出演:福山雅治、 堤真一、 松雪泰子、 柴咲コウ
天才物理学者が天才数学者の犯罪に挑む。 ★★☆
東野圭吾原作の映画は、いったい何本作られているのだろう。「手紙」とか「秘密」とか。
それらは、どちらかといえば人間ドラマ風だが、これは謎解き中心である。
映画の冒頭で殺人事件が勃発し、犯人は観ている者にはじめから知らされている。
そして、その犯人に協力者があらわれて隠蔽工作が行われる、警察がその事件を捜査していく。
つまり一種の倒叙ものの体裁をとっている。
(ここで”一種の”という注釈が入るわけだ。ネタバレになるのでこれ以上は書けないが、すべてが明かされているわけではないということだ。
警察だけではなく、観客も巧みに騙されているのだ)。
暴力をふるいヒモのようにつきまとってくる夫を殺してしまったのは、花岡靖子(松雪泰子)とその娘。
秘かに泰子に好意を抱いていた隣人の石上(堤真一)は花岡親子を助けてくれるのだが、彼は靖子に対しても一つの秘密を抱えていたのだ。
その真相に愕然とする。それが作品のタイトルの所以だ。
さすが東野圭吾である。
上手い! これは原作がとびきり良いわけだ(たしか直木賞受賞作のはず)。
石上役は、本当は堤真一のようなハンサムではなくて、もっと不細工な、絶対に女性にはもてないだろうなという風貌のほうが、原作のイメージにはより近かっただろう。
でも、それでは”華”がなくなってしまうかもしれない。
石上と知恵比べをする探偵・湯川役(福山雅治)も、個人的にはちょっと軽すぎる気がした。
原作を読んでいなければ、映画はさらに楽しめただろう。
しかし、すでに結末を知っている者にも、ていねいな作りで、映画は楽しめた。好くできていた。
(ただ、何日のアリバイを警察が調べているのか、というところを、原作ではきちんと説明していたのだが、映画ではやや不親切であった。)
TVドラマの延長ではないかといわれればそれまでなのだが(TVでもこのガリレオ・シリーズは放送していたようなのだ)、映画としての出来にはなっていたと思う。
もとは取れる映画でした。