2015年 アメリカ 117分
監督:ターセム・シン
出演:ライアン・レイノルズ、 ナタリー・マルティネス、 ベン・キングズレー
その人は、肉体か記憶か。 ★★★
大実業家で資産家のダミアン(ベン・キングスレー)は死期が迫っていた。
そんな彼は、人工培養して作り上げた身体に記憶を転送して、マーク(ライアン・レイノルズ)としてもういちど人生を謳歌しようとする。
おお、この若々しい肉体! バスケットもできるし、ご無沙汰だったセックスも楽しめちゃうぞ(笑)。
こんなことが出来るようになったら、お金持ちはみんなやりたがるのではないだろうか。
老獪な(汗)知識と可能性を取り戻した肉体。いうことないじゃないですか。
しかし、これには裏があったのだ。
前作までのターセム・シン監督作、たとえば「セル」や「落下の王国」などに見られた色彩美はすっかりなりをひそめている。
やはりあれは衣装デザインの石岡瑛子の功績だったのだな。
彼女の度肝を抜くような衣装デザインは楽しみだったのに。残念。
さて、拒絶反応を抑えるといわれていた薬を飲み忘れたマークは、妙な幻覚を見る。
これは、いったい何だ?
実はマークの肉体は人工培養したものではなくて、大金と引き替えに肉体を提供した元軍人のものだったのだ。
なに、するとこの肉体には元々の家族がいるのか?
ということで、妻や娘と再会したマークの肉体に宿ったダミアン。
死んだはずの夫が現れて混乱する妻。無邪気に喜ぶ幼い娘。
(娘がダミアンにママの誕生日をこっそり教えてくれるところは、ほっこり。忘れちゃ駄目だよ。)
さあ、ダミアンはどうする?
人体売買の秘密を知られた悪徳企業は、ダミアンの口を封じようと屈強な男たちを送り込んでくるし・・・。
いつも思うのだけれども、人間のその人たる所以は、顔かたちなどの肉体? それとも、考え方や性格などの心?
ロボコップのように心が移植されていたら、外見は違っても愛せる?
見かけは同じでも妙な薬剤か何かで心が変えれてしまっていたら、愛せない?
どうなんだろ?
(以下、ネタバレ)
この映画は、そのあたりは上手く持っていっていた。
副題どおりに、記憶は覚醒していくのだよ。めでたし、めでたし。
マークは自分に戻れて、しかも大資産家になれたというおまけ付き。めでたし。めでたし。
そうそう、親友の息子も実は記憶入れ替え別肉体だった事には、ぞ~っ。
それに、悪徳大企業のボスも実は・・・というカラクリには、感心したぞ。