1961年 アメリカ 134分
監督:ロバート・ロッセン
出演:ポール・ニューマン、 パイパー・ローリー、 ジョージ・C・スコット
賭けビリヤードの勝負師。 ★★★
ハスラーという言葉は、日本では単にビリヤードをする人の意味で使うことが多いが、アメリカでは賭けビリヤードのプロをさすようだ。
この映画は、そんなハスラーの人生を追っていく。
画面はワイドだがモノクロで、映画の雰囲気にはよく合っている。
私も学生時代にはちょっとだけビリヤードをしていた。大学の福利施設の一角に何台かのビリヤード台が置いてあったのである。
そのころはローテーションと四つ玉というのが主流だった。
映画に出てくるのは14-1というゲームで、ローテーションに似ているようだ。
だが、この映画がみせるのは、ビリヤードの勝負ではなく、一人のハスラーの人生なので、そのルールは知らなくても映画を観る上でそれほど困ることはない。
若いがその世界では名前も通りはじめたハスラーのエディ(ポール・ニューマン)は、ちゃちないかさまをしたり、伝説のハスラーと勝負をしたりする。
お金のかかった真剣勝負による毎日だから、心の平安とは縁遠い生活である。
場面は、煙草の煙がいつも漂っているようなプール(ビリヤード場)か、安ホテルの狭い室内である。
主人公の気持ちはいつも勝負に向かっていて、ささくれ立っているような雰囲気が伝わってくる。
エディが知り合う薄幸の女性(パイパー・ローリー)や、賭博師(ジョージ・C・スコット)も、やはり気持ちは波立っている。
私は賭け事、勝負事をほとんどしないので(若い頃に麻雀をしていたぐらい)、正直なところ、勝負師の心情はよく判らない。
だから、この物語の主人公のビリヤードにかける一途な気持ちも、頭でしか判っていないだろう。
ポール・ニューマンが若い。
放漫になったり、自棄になったり、若さ故の危なっかしさを抱えた主人公をよく演じていた。
パイパー・ローリーという女優は初めて見たのだが、彼女の存在がこの映画を深い味わいにしていた。
明るい話ではない。
主人公をはじめとする登場人物たちの澱んだ心情が重い。
苦い展開があり、主人公は新たな場所へ旅立っていくわけだが、あれからどうなったのだろうか。
エディの何十年後かを描いた「ハスラー2」も観なくては。