2008年 韓国 113分
監督:チャン・フン
出演:ソ・ジプソ、 カン・ジファン、 ホン・スヒョン
真面目なコメディ。 ★★☆
タイトルに惹かれてなんとなく観たのだが、意外に楽しめる作品だった。
ヤクザに憧れる俳優と、俳優になり損ねたヤクザの交流を描いている。
なにが現実で、なにが作り物か、それを作り物の映画で描くという、考え始めるとなかなかに奥の深い(笑)映画。
キレやすい俳優のスタ(カン・ジファン)は撮影中に相手俳優に大けがをさせてしまう。
そんなスタには相手役がいなくなってしまう。
そこでスタは映画好きのヤクザ、ガンペ(ソ・ジプソ)に映画に出ないかと話を持ちかける。
ガンペは本気で殴り合うことを条件に出演を承諾する。
実はガンペは元役者だったのだ。
ヤクザ映画の俳優がいくら見得を切ってみても、所詮は作り物の中でのヤクザ。
そこに本物のヤクザが紛れこんでくるのだから、さまざまな騒動が持ち上がる。
ガンペは、本物のヤクザはこんなものではないと、映画そのものが破綻しかけるような迫真の演技をする。
そりゃあ本物なんだから、なあ。
ヒロインを襲う場面でも、ガンペは本気で襲ってしまう。
これにはヒロインは泣きくれるし、周りも困惑する。
でもガンペはそんなことはどこ吹く風。
ガンペは終始無表情で、クールな感じ。格好良い。
そして、なかなかに繊細な優しいところを垣間見せるところが憎い。
手下たちと映画の真似をしようと言って、スローモーションで殴りあいの真似をして遊ぶところなど、微笑ましい。
映画の撮影どころではない実生活でのヤクザの抗争も絡んでくる。
実際の抗争での緊迫したアクション場面と、撮影現場でのユーモア場面がうまくミックスされている。
最後は予定調和的に終わっていくが (ちょっと突っこみたくなるところもある)、面白く見終わることができる。
映画は映画だ、と、映画で言っているところが、冷めて考えると面白い。