2010年 フランス
監督:リシャール・ベリ
出演:ジャン・レノ
フレンチ・ノワール。 ★★☆
マフィアの世界から足を洗い、平安名暮らしをしていた元ドンのシャルリ(ジャン・レノ)は、ふいに駐車場で8人の覆面姿の男達に襲われる。
22発も撃たれながら一命を取り留めたシャルリだったが、右手の自由は失ってしまう。
俺を襲ったのは誰だ? 引退した俺をなぜ襲うんだ?
ハリウッド製のマフィアものと違って、登場人物たちがどことなく湿っぽい。
というか、個人がかかえている情の部分をかなりていねいに描く。
悪人にもそれなりの人間性を感じさせる。そのあたりがいかにもフランス映画らしい。
途中でバイクと車2台のチェイスがあったり、激しい銃撃戦も出てくるのだが、メインとなるのは主人公の心の動き。
なんといってもジャン・レノだから、格好良い雰囲気を漂わせて存在感を見せてくれる。
報復の連鎖を断つために手下にも我慢を強いるシャルリだが、愛する家族が危険にさらされてついに忍耐の尾がキレる。
(こう書くと、基本的なところはかっての東映の任侠映画みたいだな。寡黙な高倉健とジャン・レノ、雰囲気が似ている?)
死ぬまで友達と誓い合った仲間だったのに、何故だ?
お前までもか!
俺は平安に暮らしたかっただけなのに、どうしてこんなことに・・・?
ということで、マフィアものですが、しっとりとした情感もあって、静かに見終わりました。
シャルリに密かに協力してくれる女刑事も、なかなかに味がありました。