1969年 フランス 124分
監督:アンリ・ヴェルヌイユ
出演:ジャン・ギャバン、 アラン・ドロン、 リノ・バンチュラ
フレンチ・ノワールの傑作。 ★★★★
なんといってもアンリ・ヴェルヌイユ監督である。
それに、なんといってもギャバン、ドロン、リノ・バンチュラ、この3人の顔合わせである。
とても格好よく、渋い。
ドロンは一匹狼の殺し屋。
この頃のドロンは涼しげな目つきに、どこか野卑な危険性を併せ持っていて、観ているものをゾクゾクさせた。
ドロンの脱獄を手助けしたのがギャバンがボスのシチリア・マフィア一家。
このシチリア・マフィアは家族の結束は強く、家長の命令は絶対である。誰も逆らうことはできない。
そんな家長であるギャバンは、そこにいるだけで辺りを支配してしまう雰囲気を持っている。さすが。
そして彼らを追うフランス警察がリノ・バンチュラ。
はじめたばかりの禁煙にイライラしながら必死の捜査を続ける。
そういえば、バンチュラは「冒険者たち」ではドロンと組んで切ない夢物語を見せてくれていた。あれも好きな映画だった。
さて、ドロンとギャバンは手を組んで、宝石を運んでいる飛行機をハイジャックする。
そして見事にそれは成功したのだが・・・。
ドロンが手を出してしまうマフィア家族の嫁にイリナ・デミック。
彼女との関係が物語に大きく関係してくるのだが、彼女だけはマフィア家族の中でフランス人という設定。
いわば外部者だったわけだ。
ギャバンが、嫁のスカートが短すぎるぞ、と息子に忠告するところも、いかにもありそうなシチュエーションだなと思わされた。
「シシリアン」といえば直ぐに思い出されるのは、エンニオ・モリコーネのあの音楽。
ビヨ~ンという、なんとも印象的な音が響く。
なんの映画音楽かは忘れていても、メロディを聴けば、ああ、聞いたことがあるなあ、と思う人は多いだろう。
(以下、ネタバレ)
といっても、これを読んでいる人は、みんな結末は知っているとは思うのだが。
最後、ギャバンを古い町工場で待っていたバンチュラ。
ギャバンのコートに開いた穴を指さして、終わったのか、と尋ねる(ドロンを撃った銃弾が開けた穴である)。
では参りましょうか、とギャバンが答える。
渋いねえ。