あきりんの映画生活

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「完全なる報復」 (2009年)

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2009年 アメリカ 108分
監督:F・ゲイリー・グレイ
出演:ジェラルド・バトラー、 ジェイミー・フォックス

復讐サスペンス。 ★★★☆

若妻と幼子を殺した二人の犯人が、10年後にそれぞれに酷い方法で殺される。
一人は無痛のはずの死刑執行でもがき苦しみ、もうひとりは廃工場で全身を切り刻まれる。
その犯人は目の前で家族を殺されたクライド(ジェラルド・バトラー)。

と、ここまでなら普通の復讐劇なのだが、この映画では犯人たちと司法取引(この制度が日本にはないので、ちょっと馴染みが薄い)をした検察局までもがクライドの復讐の対象となっていたのだ。
司法制度の不備をなおさなければあの裁判に関わった者全員に復讐するぞ。

二人への復讐を果たしたクライドは悪びれることもなく、あっさりと逮捕される。
そして担当検事のニック(ジェイミー・フォックス)の取り調べに応じていくのだが、一筋縄ではいかない。
クライドはニックに、俺から自白を引き出したいのなら取引をしようじゃないか、と持ちかける。
そして理不尽な条件を提示してくる。
なんという奴だ。

この映画のおもしろは、頭脳明晰な復讐犯の驚くような犯行計画にある。
あらかじめ誘拐されていた関係者が予告と共に殺され、検察局の駐車場では仕掛けられた爆弾が爆発する。
用意周到な準備でクライドは次々に復讐を成し遂げていく。

犯人は分かっているのに、しかも刑務所に収監しているのに、まだ復讐が続く。
ニックをはじめとする検察局員や裁判所員に不安と恐怖がたかまる。
それとともに観ている者も緊張感に捕らわれる。
すごい。いったいこの復讐劇はどこまで続くのだ?

復讐が開始され始めたのが、事件があってから10年も経ってから、というところにもポイントがある。
何故クライドは10年も待ったのかか? その10年間にクライドはなにをしていたのか?
なるほど、そうだったのか。
謎の10年間のクライドを知る人物にニックが警告される。彼が計画したのなら、それは必ず成し遂げられるだろう、と。

クライドの先の先まで読んだ周到な準備、計画にすっかり魅せられる。
いつの間にか、クライドの復讐を応援してしまっている。

終始、苦虫を噛み潰したような悲痛な表情のバトラーはとても渋い。
ふてぶてしさがとてもよく似合っている。
それに引き替え、フォックスはちょっと常識的すぎる役回りだった。
元はといえば、あんたの点数稼ぎ主義が招いたことなのに結局は何も償わなかったし・・・(と、フォックスに言ってもしょうがないのですが)。

(以下、ネタバレ気味)

しかし残念だったのは、最後近くになって、クライドのある準備が発覚してからの展開が急すぎたこと。
せっかくそこまではクライドの知能犯ぶりを楽しませてくれたのに、あまりにも結末に向かって粗い展開となってしまった。
クライドには最後まで勝ち誇って欲しかったなあ。

それに、ニックよ。最後にあんたのとった行動はどうよ。
それ、許されるんかい?