あきりんの映画生活

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「4デイズ」 (2010年)

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2010年 アメリカ 97分
監督:グレゴール・ジョーダン
出演:サミュエル・L・ジャクソン、 キャリー・アン・モス

人道的サスペンス。 ★★★

かって「13デイズ」という映画があったが、このごろは日数をタイトルにした映画が多いような気がする。
「スリーデイズ」に「5デイズ」、それに本作だ。混乱してまう。
それはさておき。

核爆弾テロリストと、その犯人から情報を聞き出して核爆発を防ぎたいという尋問官の、4日間の心理的な攻防を描く。
映画の大部分の舞台は、日もささない完全に閉塞された尋問室。
アクション場面などはまったくなく、画面としては地味。
しかし、緊迫した展開にすっかり見入ってしまった。

アメリカ国内の3都市に核爆弾を仕掛けたという予告状が届く。それは4日後に爆発するという。犯人のヤンガーは、なぜかすぐに逮捕される。
遣り手のFBI捜査官、ヘレン(キャリー・アン・モス)は、さっそくヤンガーの尋問を開始するのだが、そこにCIAの尋問スペシャリスト“H”(サミュエル・L・ジャクソン)が加わる。
そのHの尋問手段は拷問さえも平気で行う非人道的なものだった。

個人の拷問は、アメリ憲法で禁止されている、というのが建前。
ヘレンはその建前に従って尋問をすすめるが、激しい覚悟のヤンガーは屈しようとはしない。
このままでは核爆発が起きて、数千万人の命が失われる。
映画の展開は、そんな状況になったときにでも、犯人の人権は守らなければならないのか、と問いかけてくる。
何が正義なのだ?

Hの尋問(拷問なのだが)はどんどんとエスカレートしていく。
どんな手段を講じてでも数千万人の命を救うのが正義だと、Hは言う。
そのためには犯人の人権を無視するのもやむを得ない。さらに犯人の妻・子どもたちの人権を無視することも厭わない・・・。

この映画は、内容の過激さからアメリカ国内では上映されなかったとのこと。
さらに、DVD発売になったときも、ラストの場面は日本版とは変えられていたとのこと。
アメリカ国民にはあまりにも受け入れるのが困難な内容だという判断だったらしい。
というよりも、ひょっとするとこんなことがあり得るかもしれないという恐怖が、アメリカ人の実際の生活の中にあるのもしれない。
描かれたことは、アメリカではけっして絵空事ではない、と。

どこにも救いがないような、社会派のサスペンスです。
しかし、観ている者に強く問題提起をしてくる映画です。
貴方はどう考える?と。