1996年 アメリカ 122分
監督:ロン・ハワード
出演:メル・ギブソン、 レネ・ルッソ、 ゲイリー・シーモア
誘拐サスペンス。 ★★★☆
一代で航空会社を築いたトム(メル・ギブソン)は、裕福な生活、愛する妻に可愛い息子と幸せな家族。
そんなトムの息子が身代金目的の誘拐に遭う。
映画は、誘拐犯たちの動きと、それに対応するトムと事件を捜査する FBIの動きを、交互に映してお互いの駆け引きを追っていく。
緊迫感がある。
子供の命をとにかく優先するために、犯人の指示に従っての身代金引き渡しがおこなわれるのだが、FBIの手違いで不首尾に終わる。
怒る誘拐犯たち。息子の命を案じるトムと妻(レネ・ルッソ)。
(以下、中盤までのネタバレあり)
この映画の面白さは、犯人の要求通りに身代金を払っても息子は生きては還ってこないと考えたトムの突飛とも言える行動にある。
トムは、犯人たちは身代金を手に入れたら息子を殺してしまうだろう、それなら身代金は絶対に払わない、と考える。
そして、身代金の支払いを拒否して、代わりにマスコミを通じて犯人逮捕の懸賞金にしてしまうのだ。
ここからトムと犯人の心理的な駆け引きが始まる。
トムの行動は言ってみれば捨て身の大バクチ。
どんなことをしても身代金が手に入らないのであれば、子供を返して誘拐をチャラにしよう、と犯人たちが考えてくれればいいのだが・・・。
しかし、そんなに上手くいくか?
もし裏目に出れば、自棄になった犯人は即座に息子を殺してしまうかもしれない。
身代金を払ったら息子を返してくれるのではないかという一縷の望みにかけるのが、普通の考え方だよなあ。
誘拐犯のリーダー、ゲイリー・シニーズは、いつも悪徳**、というイメージがある。
**でなくても、どこか腹黒い人物像。理知的だけれども小狡くて、いつも何かしらの悪巧みをしている。
この映画は、熱くなりやすいメル・ギブソンよりもゲイリー・シニーズの冷めた犯人像が印象的だった。
映画の面白さも彼の功績によるところが大きいと思う。
自分一人が助かるために仲間を裏切り、そのうえちゃっかりと懸賞金をいただこうと画策するとは、お主もとことん悪よのお(笑)。
最後、トムはやっぱり強かった。
さすがマッド・マックスだっただけのことはある(笑)。
ロン・ハワードって、あのTVドラマ「24」の制作指揮をずっとしていたんだ。知らなかったなあ。
そんなに上手くいくものか、と思ったりもしますが、サスペンスものとして、とても面白く観ることができます。