2007年 フランス 115分
監督:クロード・シャブロワ
出演:リュディビーヌ・サニエ、 フランソワ・ベルレアン
愛憎の三角関係。 ★★
フランスのヒッチコックといわれているシャブロワだが、個人的には全然違うんだがなあと思ってしまう。
ヒッチコックの作品にみられるエンターテイメント性が希薄で、どちらかといえば文学的な雰囲気が強い。
この作品はシャブロワの最晩年のもの。
TVでレポーターをしたりしているガブリエル(リュディビーヌ・サニエ)に興味を抱いた初老のプレイボーイのシャルル(フランソワ・ベレルアン)は、老獪な手練手管で彼女を夢中にさせてしまう。
彼女を見初めた大金持ち御曹司のポールもしきりにアプローチするのだが、シャルルに夢中のガブリエルはポールに見向きもしない。
こうして、ふたりの男の愛の間で揺れ動く一人の女性を描いている、ということになるのだが、どうもしゃんとしない。
三人の人物の心理描写に深みがない。
だから、執拗に愛を求めるガブリエルを鬱陶しく思いはじめたシャルルが酷い仕打ちをしたり、少しキレタようなポールが偏執的な愛を向けてきたりしても、あまり惹き込まれない。
描き方が淡泊すぎるのかなあ。
ヒロインのサニエは、フランゾワ・オゾン監督の「スイミング・プール」で見事な姿態を見せてくれていた。同監督の「8人の女」でも印象的だった。
ただ、この作品ではただの小娘という感じで、ほとんど魅力がない。
シャルル役のベレルアンはどこかで見た顔だなあと思っていたら、ああ、そうだ、「トランスポーター」シリーズでジェイソンと仲が良い刑事役の人だった。
まったく印象が違うので、これにはびっくり。
三角関係はもつれて、あれぇ!というような悲劇的な結末を迎える。
元になった事件が実際にあったとのこと。
驚くのは、そのあとのエピローグ的な部分。これ、なに?
シャブロワが、かってはゴダールやトリュフォーと並ぶヌーベル・バーグの旗手だったということを思い出させるエンディングだった。
しかし、期待したほどには面白いと思えなかった・・・(泣)。
どうも、シャブロワとは合わないのかな。