あきりんの映画生活

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「理由」 (2004年)

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2004年 日本 160分 
監督:大林宣彦
出演:岸辺一徳、 勝野洋、 加瀬亮、 伊藤歩 

一家殺人サスペンス。 ★★☆

原作は、直木賞受賞の宮部みゆきの同名小説。
東京、荒川の超高層マンションで一家4人の殺害事件が発生する。ところが、殺された4人はこの部屋の住人ではなかったことが判る。いったい、被害者は何者?
というのが物語の発端。

たくさんの人物が登場してきては、次々にカメラ目線で質問に答える。
ていねいな人物紹介がテロップの形で写されるので (「マンション管理人の**さん」 という具合に)、まごつくことはない。
その証言者たちの振り返り映像で物語が提示されていく。

そのままやれば単純なドキュメンタリー・タッチになるところだが、大林監督なのでわざとそれを演技臭く撮る。
あのデビュー作の「ハウス」から続いているわざとらしい嘘のような夕陽に照らされた下町風情などに、ノスタルジー大好きの監督の好みがよくでている。

この作品は、小説自体がそうなのだが、”殺人事件の謎解き”ということよりも、そんな事件が起きてしまった都会の人間関係を描くことに主眼が置かれている。
”本格推理”ではなく、あくまでも”社会派推理”ものである。

2時間半を超える長尺ものだったが、退屈することもなく見終えた。
これだけの豪華出演者を大勢登場させて、それなりにまとめて見せたところは監督の手腕だと思う。
(しかし、久本雅美の演技の下手さには愕然とした(苦笑))

ただこれには、私は好きなのでまったくOKだったのだが、大林監督の作風への好みの問題もあるだろうなあとも思える。
”わざとらしさ”の作風が鼻につく人では、評価が厳しくなるのではないだろうか。

不満をひとつ。
最後の字幕文句は全くの余分だった。
原作小説は文字の世界だから当然それを書くわけだが、映画でそんなことを文字で言ってしまっては駄目なのじゃないの、と思うわけだ。
文字で言わずに映像で見せるから映画だろうに・・・。
映像からそれぞれに感じて心に残るものを持ちかえるはずなのに、文字で映画が物語の解釈を押しつけてはいかんでしょう・・・。