2000年 アメリカ 148分
監督:スティーブン・ソダーバーグ
出演:マイケル・ダグラス、 キャサリン・ゼタ・ジョーンズ、 ベニチオ・デル・トロ
ドン・チードル、 デニス・クェイド
麻薬マフィアとのサスペンス。 ★★★
メキシコからアメリカへの麻薬密輸ルートが”トラフィック”。
これに絡まる3組の人間ドラマを描いている。
さすがにソダーバーグ監督、ドキュメンタリーを思わせるような撮り方で、骨太のドラマに仕上げている。
メキシコで麻薬密輸を監視する警官ハビエール(ベニチオ・デル・トロ)は、麻薬カルテルの壊滅を唱えるサラサール将軍の密命を受ける。
その麻薬をアメリカへ密輸していた組織の元締めは仲間の裏切りで逮捕される。窮地に陥った妻(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)は・・・。
一方、新しい麻薬取締責任者となったロバート(マイケル・ダグラス)は麻薬摘発の使命に燃えるのだが。
これらの人物のドラマが交互に映される。
アメリカでの場面が普通のカラーで映され、メキシコでの場面は色あせた様な茶色がかった色調となる。
それに青みがかった色調の場面では内面が表されているよう。
なんといってもベニチオ・デル・トロがいい。表情がいい。
少ない台詞で、何かを訴えるような眼差しでこちらを見つめる。渋い。
それに好い人を演じるドン・チードル。
二人がそれぞれに死んでいった相棒に向ける思いやりが、画面からひしひしと伝わってくる。
アメリカは、日本では考えられないほど麻薬に汚染されているのだろう。
麻薬撲滅のために家庭も顧みずにがんばっていたロバートの家庭に麻薬が忍び込んでいたという皮肉。
父親としてはたまらなく辛い現実に直面させられたわけだ。そりゃあ辛いなあ。
麻薬王の妻が、はじめは夫の真の姿を知らないでただただうろたえて嘆いていたのに、後半になると、いきなり組織の立て直しを謀るように変貌する。
これは、展開にちょっと無理があったような気がするのだが。
約2時間半という長さだが、扱っている題材も大きいし、登場人物も多岐にわたるので、退屈するようなことはない。
しっかりとした作品だった。