あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「ラブリーボーン」 (2009年)

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2009年 アメリカ 135分
監督:ピーター・ジャクソン
出演:シアーシャ・ローナン、 マーク・ウォールバーグ、 レイチェル・ワイズ
    スタンリー・トゥッチ、 スーザン・サザンランド

ファンタジー・ドラマ。 ★★★

不慮のことで亡くなった者が、様々な形で現世の者と交流をするという作品は少なくない。
有名なところでは「ゴースト」。あの映画は、死んで肉体がなくなった者がどうやって恋人を守るかではらはらとさせてくれた。
日本映画では大林宣彦監督の「ふたり」。死んだ姉が、ドジな妹を見守って助けるというものだった。(尾道が舞台で、主題歌も好いのですよ。)
さて、この映画。

14歳の少女、スージー・サーモン(シアーシャ・ローナン)はある冬の日に近所の男(スタンリー・トゥッチ)に無残に殺されてしまう。
犯人が平然と日常生活を送っている一方で、娘を失った家族はあまりの悲しみから気持ちがばらばらになっていく。

スーザンは天国と現世の間の世界を彷徨っている。
この幻想的な描写はすばらしい。
いろいろな想念が意味ありげに結びついて、あり得ない光景を展開してみせる。
父親の作っていたボトル・シップが実際に海の上を航海している様は、まるでルネ・マグリットの絵のようだった。

犯人役は、ほかの映画ではオネエ的な役柄で十分な存在感を出していたトゥッチ。
いつもはほのぼの系だったのに、この映画では本当に憎々しい。
それにひきかえ、残された家族は辛い。
犯人探しに妄執する父親(マーク・ウォルバーグ)も、自責の念に苛まれて家を出てしまう母親(レイチェル・ワイズ)も。
シアーシャ・ローナン演じるスーザンの儚げな、悲しそうな風情はとても良かった。

不満を言えば、この映画ではス-ザンがただ見守るだけの存在であったところが、いささか物足りなかった。
生きている人々には何もしてやれないところ。
辛いなあ。悲しいなあ。

画面はこの上もなく美しいのだが、内容にはかなり残酷なものがある。

(以下、結末のネタバレあり)

犯人の結末は見ている者が満足できるようなものにはしていない。意図的?
あれではカタルシスは得られないよなあ。
それに、結局スーザンの遺体は見つけられないままで終わっていく。

スーザンが天国に旅立てたことだけが救いだったなあ。