1977年 アメリカ 143分
監督:ジョン・フランケンハイマー
出演:ロバート・ショウ
アクション・サスペンス。 ★★★
大勢の観客でいっぱいのスーパーボウルの競技場を爆破しようと企む国際テロ組織。
それを阻止しようとするFBIやイスラエル特殊部隊。
フランケンハイマー監督お得意の骨太な、エンターテイメント作品である。
資料によると、完成直後から30年以上も我が国の映画館での上映が見送られていた幻の作品とのこと。
映画の内容に激怒した実際のテログループが、上映すれば映画館を爆破するとの通告をおこなったのだという。
裏を返せば、それだけの内容を持った作品であるということにもなる。
実は、この映画は大スタジアムでの単純なパニック・ドラマかと思っていた。
DVDのパッケージも競技場の上空に浮かぶ大きな飛行船だし、これが鍵を握っているな、と期待して・・・。
しかし、そこへ至るまでのドラマがていねいに描かれていた。
物語は、”黒い九月”と名乗るテロ・グループのテロ計画、その準備の様子と、その動きを察知したイスラエル特殊部隊将校(ロバート・ショー)の動きが、平行して描かれる。
どちらもそれぞれの理由があって、どちらも必死である。
どちらの側の人間性もきちんと描かれている。
だから、観ている者は、計画が上手くいくのだろうかという思いと、計画を無事に防げるのだろうかという思いのどちらにも肩入れをしてしまう。
で、緊張感が持続したままで観てしまう。
テロ・アジトの急襲や、モーターボートでの逃走劇など、アクション場面も随所に盛り込まれる。
そしてやはり要となるのは”Good Year”の懐かしいロゴを入れた大型飛行船だった。
すり鉢状の形の大スタジアムに合わせて銃弾を散乱させる秘密兵器を、飛行船の本体の下に取り付けるのだ。
(この兵器の予行場面も好くできていた。)
2時間あまりの長尺物だが、後半の約1時間が大スタジアムを巡る攻防戦となっている。
CGなどない時代の作品だが、本物が持つ少し無骨な迫力が楽しめます。