1999年 アメリカ 115分
監督:スティブン・サイリアン
出演;ジョン・トラボルタ、 ロバート・デュバル、 ウィリアム・H・メーシー
実録に基づいた裁判もの。 ★★☆
弁護士役のトラボルタが大企業相手の訴訟をくりひろげる裁判もの。
最近は個性的な悪人役というイメージのトラボルタなので、これも悪徳弁護士の腹黒い物語かと思ったら、あれ、真面目だ!
マスコミでも売れっ子のやり手弁護士のジャン(ジョン・トラボルタ)は、貧しい家族から持ち込まれた地味な訴訟依頼を受ける。
金儲けにならないと考えられたその訴訟は、実は巨大企業による環境汚染につながっていた。
これは莫大な慰謝料が請求できるぞ! やってやろうじゃないの!
とこうくれば、どうしても思い出すのは「エリン・ブロコヴィッチ」。
あれも実話に基づいた公害企業相手の裁判ものだった。
あちらはジュリア・ロバーツが扮したただのシングル・マザーが怖いもの知らずに脳天気にバリバリと前進して、あれよあれよと憎らしい相手にぎゃふんと言わせて、痛快だった。
それに引き替え、こちらはシビア。
はじめこそ報酬目当てで始めた訴訟だったが、事件の背後に潜む巨大企業の非道さを知るにつれて、ジャンは義憤に駆られていく。
ジャンは自らの利益を無視してこの訴訟に全てを投げ打っていく。
企業の悪行を暴くためには膨大な調査が必要となる。
企業が環境汚染を起こし、被害を出したという具体的な証拠を用意しなくてはならない。
裁判をつづけるための巨額な費用がかかってくる。
事務所の備品も売り払い、事務所や自宅まで抵当に入れ費用を工面する。
すべての財産をつぎ込んで、それでも裁判に勝てるかどうか判らない。
共同で弁護士事務所をやっていた仲間2人は、ジャンにもう訴訟はあきらめようと説得するが、ジャンは聞き入れない。
この映画、裁判の成り行きを観るというよりも、ジャンという弁護士の人間ドラマを見ることになる。
トラボルタはもっとずうずうしいい、ふてぶてしい弁護士を演じるのかと思ったら、意外だった。とても繊細な人間性をみせている。
それに引き換え、企業側の弁護士に扮したロバート・デュバルの狡猾で憎々しいことといったら!(笑)
(以下、ネタバレ)
結局ジャンは、お金も仲間も何もかも失ってしまう。そして・・・。
ほろ苦い結末となり、爽快感はありません。
実話が元となっていてジャンは実在した人物だとのこと。
う~む、良心的な弁護士はたいへんだ。