2013年 イギリス 137分
監督:ポール・ハギス
出演:リーアム・ニーソン、 ミラ・クニス、 エイドリアン・ブロディ、
オリヴィア・ワイルド、 モラン・アティアス、 ジェームズ・フランコ。
緊張感が溢れた人間ドラマ。 ★★★★☆
ポール・ハギス監督らしく、3つの都市での3つの物語が平行して描かれる。
それぞれの物語はどこかで交わるのか? それともそのままで終わっていくのか?
パリの高級ホテルにいるうのはピュリッツァー賞作家のマイケル(リーアム・ニーソン)。
新作の執筆に追われながらも、別の部屋に泊まる作家志望の女性アンナとの不倫を楽しんでいた。
執筆している彼の背後で何者かが”私を見て”と、意味不明の言葉を囁く。はて、これは?
ローマのバーでは企業スパイのアメリカ人スコット(エイドリアン・ブロディ)がロマ族の美女モニカに惹かれていた。
モニカは誘拐された娘の身代金を持ってきていたのだが、大事なそれを無くしてしまう。
成り行きからスコットは彼女に金銭的な助けをしようとする。
ニューヨークではジュリア(ミラ・クニス)がホテルの客室係として働いていた。
彼女は別れた夫と息子の親権を巡って係争中で、多額の裁判費用を工面する必要があった。
しかも、彼女には息子を殺そうとしたのではないかとの疑いもかけられていたのだ。
どの物語もすべてが観ている者に差し出されているのではなく、どこか謎めいた部分が絡みついている。
たとえば、モニカは子どもを助けるためにお金が必要だというのだが、はたして本当にそんな子はいるのか?
ジュリアは本当に我が子を殺そうとしたのか?
3つの物語はときに時空が捻れて交差する。
アンナの部屋の清掃にジュリアがやってきたりするのだ。あれ?
それにスコットの母親はジュリアの弁護士であり、マイケルの別れた奥さんも我が子をプールで誤って死なせてしまったようなのだ。
物語が奇妙に関連づけられたり、出会うはずのない登場人物たちが接近したりするのだ。
困惑するのだが、それが次第に、観ている者のなかで新たな物語が組み立てられていくようなのだ。
ひとつひとつの物語がどことなくつながって大きな物語になっていく。
(以下、ネタバレ というか、なんというか?)
ある解釈では、すべてはマイケルの書いている小説の物語ではないか? というものもあるようだ。
なるほどなあ。
そう考えると判るような部分もあるし、かえって判らなくなる部分もあるような・・・。
映画なんて、観た人がそれぞれにその人の解釈、印象を持てばいいわけだし、正解はいくらでもあるのだろうと思う。
他人の解釈に縛られる必要もないし。
ともかくも、そんなことも考えさせてくれる見応えのある映画。
そして、ラストの場面は、冒頭の場面につながっていく。
執筆しているマイケルの背後から誰かが囁く、”私を見て”・・・。
う~む、もう一度観直さなくては・・・。