あきりんの映画生活

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「アイアン・スカイ」 (2012年)

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2012年 フィンランド 94分
監督:ティモ・ボレンソラ

脳天気SF。 ★★☆

とにかく発想が素晴らしい。
ナチスの残党が月の裏側にこっそりと一大基地を作り、地球侵攻の準備をしていた、というもの。
こりゃあ期待してしまう設定だよなあ。

ナチスの軍服を思わせる宇宙服や、レトロっぽい宇宙基地(全体のかたちはハーケンクロイツ)、どう考えても現代から遅れているだろうと思われるコンピューター設備。
サイドカーには乗っているし、こういったところへのこだわりは充分に楽しませてくれる。

ただ物語の展開が、あまりにも常識的すぎた。
チャップリンの「独裁者」を都合よく編集して小国民の教育に使っていたとか、誇張されたアーリア民族崇拝とか、よく考えてはいるのだが、それでも新鮮味がない。
過去の独裁者ナチスと戦うのが、現代の独裁者であるアメリカ、という皮肉な視点は愉快ではあるが、ちょっと皮相的すぎた
もう少しぶっ飛んで欲しかったなあ。

さて、飛行船ヒンデンブルグの形をした宇宙戦艦が地球へ侵攻してくる。
ナチスなんて思いもしない国連の会議でも、どこの宇宙船がが攻めてきたのかと議論になる。
インドがウチは関係ない、という。中国もウチも関係ないと言う。北朝鮮がウチのだと言う。みんなから、お前のところに出来るはずがないだろうと馬鹿にされる。
いいのかな、こんなことして(笑)。

敵の宇宙船を迎え撃つことになり、アメリカは国連の掟を破って軍事宇宙船を作っていたことを明かす。
国連で他国から非難されると、アメリカ大統領は、ウチは特別だからいいのよと開き直る。
ところが、実は他国もみな掟破りの軍事宇宙船を作っていたのだ。
正直に掟を守っていたのはどこだ?との質問に手を挙げたのは、フィンランドただ1国だった。
うん、フィンランドだけは正直で、正しい国なんだね(笑)。

宇宙船同士の激しい戦いの場面では、確かにどこかで聴いた音楽が流れる。
この監督のことだから、戦闘場面は当然「スターウォーズ」のパロディ場面。(宇宙船の内部は「スタートレック」?)
ちなみに、地球防衛軍の艦隊の中に「宇宙戦艦YAMATO」の姿はありませんでした。

イデアはとても好かったのですが、期待ほどのおもしろさではありませんでした。
(期待値を上げすぎていたか? 反省)
ヒトラーに双子の兄弟がいて、年老いた彼が君臨していた、なんてところまで行って欲しかったなあ。

エンド・クレジットの時に流れる主題歌がやけに格好いい。困るなあ。