2007年 ドイツ 125分
監督:セルゲイ・ポドロフ
出演:浅野信忠
チンギス・ハーンの前半生。 ★★☆
世界を広大に支配したと言えば、アレキサンダー大王とチンゲス・ハーンのふたり。
なぜ、このふたりはあんなにも広大に世界を支配できたのだろう?
この映画は、監督はドイツ人、主役は日本人、ヒロインはモンゴル人、宿敵は中国人と、多国籍での制作となっている。
撮影は実際にモンゴルやカザフスタンでおこなわれたとのこと。
草原の雄大さが素晴らしい。
劇中ではモンゴル独特の発声法であるホーミーが頻繁に流れる。
しかし、大平原で遊牧で暮らす生活は、農耕民族である日本人にはなかなかに想像しにくいところが多い。
土地を所有するという概念もないのだろうなあ。
そんな舞台での陰謀と裏切り、権力争いが描かれる。
テムジンが長い間、敵によって幽閉されていたというのは物語上の演出だろうが、不屈の気持ちを表現していた。
それに徹底的に母系家族の考えであるようにも思えた。
当時の風習として、戦に勝てば敵部族の女性を自分の妻にするのは当然のこととしておこなわれたようだ。
そして、再び戦に勝って妻を取り返せば、その妻が他の男との間に産んでいた子も自分の子として育てるのだ。
これもなかなかに、う~んと思ってしまった。
かなりの部分でご都合主義的に上手く事が運ぶところがある。
幽閉されていたテムジンに頼まれた僧侶は、何故わざわざモンゴルまで家族を探しに行ってくれたのだろう?
その僧侶が広い草原の中をやってきたことをボルテは何故知ることができたのだろう?
史実ではなく、神話に近い物語と思って観ればいいのかもしれない。
かってのコーエイのシュミレーション・ゲーム「蒼き狼、白き牝鹿」に夢中になったような人だったら、楽しめるでしょう。