あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「白ゆき姫殺人事件」 (2014年)

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2014年 日本 126分
監督:中村義洋
出演:井上真央、 綾野剛、 菜々緒、 蓮佛美沙子

噂の連鎖・サスペンス。 ★★☆

邦画の記事の3連発。
湊かなえ原作(原作は未読)の本作、さすがにこれも見せてくれる。
なるほど、そういうことが起きていたのか・・・。

山中でめった刺しの上に焼かれた美人OL典子(菜々緒)の死体が発見される。
容疑者は会社の同期同僚の城野美姫(井上真央)。事件当夜から行方不明になっている。誰が考えても彼女が怪しい。 

この映画では、現代社会のひとつの現象であるツイッターによる情報の拡散や、TVのニュース・ショーによる情報流布が、いかに危ういものであるかを上手く取り入れている。
お調子者のTVディレクターの赤星(綾野剛)が、元カノからのたれ込み電話に飛びつく。
元カノは被害者や容疑者と同じ会社の後輩だったのだ。

同僚や家族、幼なじみなどにビデオカメラを片手に強引に取材していく赤星。
彼はその経過をいちいちツイッターで呟く。
鬱陶しい奴なのだが、いくぶん誇張はされているものの、こんな人物って確かにいそう。
それがますます鬱陶しい気持ちにさせる。

ツイッターの呟きは画面に表示されていく。
あっという間にそれに次々と反応した書き込みも画面に表示されていく。
そうして赤星が思い込んで誰にともなく呟いた事柄が、どんどんと社会に広がっていく。
おまけに独自取材と称してニュース・ショーにも流す。
単に赤星が思い込んだ容疑者Sさんは、あっという間に日本中で認知された容疑者Sさんとなってしまう。

観ている者も、提示される被害者・典子と容疑者・美姫の確執や、事件当日の不可解な美姫の行動、そして行方をくらませている事実などから、容疑者=犯人と思いたくなってくる。
上手い作りである。
実際の日常生活でも、世間はこうやってワイド・ショーによる作られた報道で事件に参加していくのだ。

もちろん映画なのだから、そのまま犯人=美姫ということにはならない。
それでは映画にならない(笑)。それは観ている者はみんなそう思って観ているわけだ。
(だいたいが名前からして「シロの美姫」なのだ 笑)
では、このような状況で、どうして美姫は犯人ではないことができるのだ? 
この映画の面白さはそこに在る。

終盤になり、逃亡して身を潜めている美姫が映し出される。
そして美姫が自分の行為を明らかにする。
ああ、そういうことだったんだ。
ああ、こう見えたけれども実はそういうことだったんだ。
じゃあ、真犯人は?  ・・・ええっ!

井上真央があか抜けないヒロインを演じていて、まったく違和感がない。
それに、ちょい脇役だがTV番組司会者役の生瀬勝久があまりにもはまっていたので笑えた。