あきりんの映画生活

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「白いカラス」 (2003年)

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2003年 アメリ
監督;ロバート・ベントン
出演;アンソニー・ホプキンス、 ニコール・キッドマン、 ゲイリー・シニーズ

辛いドラマ。 ★★★

アメリカにおける人種問題をあつかった作品。
日本での生活しか知らない身には、なかなか感情移入をおこなうことが難しいテーマではあったが、その抱えている問題の重さはよく伝わってきた。

名門大学の学部長コールマン(アンソニー・ホプキンス)はユダヤ人で初めての古典教授だったが、ある日の講義中に発した“スプーク”という一言が黒人学生への差別発言として問題視されてしまう。
ついには辞職に追い込まれ、そのショックで妻も亡くなってしまう。

現実社会ではマイノリティへの差別は公然とおこなわれているのに、公の場では一言の失言が(それも他意なく発したのに)大きな問題となる。
こうした矛盾そのものが、問題の根強さを示しているようだ。

アンソニー・ホプキンスはつくづく名優だと思う。
狂気のようなレクター博士を演じたかと思えば、このような温厚な、すこし意固地な老教授を自然に演じる。
そういえば愛すべきバイク・オタクを演じた「世界最速のインディアン」(これはとてもお勧めの映画です)のホプキンスも好かった。

やり場のない怒りと失意の日々を送るコールマンだったが、ある時、フォーニアという若い掃除婦(ニコール・キッドマン)と出会う。
フォーニアは事故で子供を亡くし、夫のDVから逃げている。
過去にそれぞれに傷ついている二人は先行きのない恋に落ちる。
やがて、コールマンは妻にさえ隠していたある秘密を打ち明けようとする。

 
(以下 ネタバレ)

邦題の「白いカラス」というのはよく考えたものだと思う。
黒人の夫婦から白い肌の子供が生まれることは実際にあり得ることらしい。
見かけがいくら白人のようでも、それでもコールマンは血統としては黒人なのだ。
それこそ白いカラス・・・。

人種差別を無意識のうちに自分がしているのではないかと自覚している人はどれぐらいいるのだろうか。
青年だったコールマンが初恋の相手を自宅に招く回想場面があった。
初恋の彼女の笑顔は、ドアを開けた彼の母親(典型的な黒人の容姿)を初めて見た瞬間に凍りつく。
この瞬間まで、彼女は自分の中に人種差別の意識があるという自覚は全くなかったのだろう。
難しい。

最後、お互いの存在を必要としあったコールマンとフォーニアは、きっと安らかだったのだろう。