2021年 110分 アメリカ
監督:ニック・スタグリアーノ
出演:アンソン・マウント、 アビー・コーニッシュ、 アンソニー・ホプキンス
殺し屋サスペンス。 ★★★☆
脇を固めたアンソニー・ホプキンス以外は知らない役者さんばかりの映画だったが、意外に面白かった。
右往左往して要領の悪い主人公なのだが、置かれた状況が面白くて、最後まで飽きさせない。
殺し屋ヴィルトゥオーソ(アンソン・マウント)は、ボスのザ・メンター(アンソニー・ホプキンス)から新たな指令を受ける。
その時間に、そのダイナーにやってくる素性不明の犯罪者“ホワイト・リバーズ”を殺せ。
えっ、情報はそれだけ? 人相も判らないの?
田舎町のダイナーとか、夜のモーテルとか、場面はどこかうら寂しい感じのところばかり。
だから映画自体も、豪華な一流品からは遠く離れたしょぼくれた感じ。
おしゃれ感も華やかさも、なにもない。要するにしょぼくれた感じ。
それがこの映画の持ち味。
さて。ヴィルトゥオーソが指定の時間にそのダイナーに行くと、そこにいたのは怪しげな人物ばかり。
背中に拳銃を隠し持っている男、いちゃついている中年カップル、遅れて入ってきた男もいる。
店の女性は体調を壊した叔母の代わりに仕事をしているという。
そこにパトロール中の警官もあらわれる。
はて、誰がホワイト・リバースなのだ?
この殺し屋、モノローグでいろいろと理屈をこねたり、解説めいたことを言う。
いかにもやり手のように思わせるのだが、実際にやることはどうも間が抜けている。
そして、後の方では流れ弾が当たった女を治療したりして(顔を見られているのに)、なにかちぐはぐな優しさも持っていた。
この人物造形はユニークでなかなかに好かった。
ええい、誰がホワイト・リバースか判らないのだったら、一人ずつ決着を付けてやるぜ。
拳銃隠し持ち男とはモーテルでやりあう。
いちゃいちゃカップルの後をつけて家に乗り込んでやりあう。
おいおい、殺しの標的でない者まで殺してしまっているぞ・・・。
杜撰で大ざっぱで場当たり的な、つまりは素人っぽい行動をくり返す殺し屋。
それなのに本人は大真面目。
いかにもプロフェッショナルを気取ったモノローグを続けている。
このギャップが何とも言えない味を出している。これ、ブラック・コメディだったのか?と思えてくるほど。
果たして殺人指令を出したメンターの狙いはなんだったのか?
最後になって大活躍する***は、ああ、やっぱりあんたね、という感じだった。
すると、なんであんなことまでしたの?というところも出てくるのだが、まあ、細かいことは言いっこなし。
B級映画の匂いがぷんぷんとするタイトルで、作品自体の評判もよろしくない。
だが、私は面白く楽しみました。これ、儲けものの作品じゃないの。
さあ、実際にはどうでしょうか。レンタル屋で目にすることがあったら、確かめてみてください。