2004年 アメリカ 121分
監督:ジョン・ダイガン
出演:シャーリーズ・セロン、 スチュアート・タウンゼント、 ペネロペ・クルス
第二次大戦前後のラブストーリー。 ★★★☆
第二次世界大戦前から大戦後までの10年間のラブストーリー。
ラブストーリーと書いたが、実はそんな浮ついたものだけではなかった。
時代の波の中で翻弄された、性的に奔放なヒロインの、それ故の一途な悲恋、悲劇だった。
1933年イギリス、貧しい学生ガイ(スチュアート・タウンゼント)は上流階級の娘ギルダ(シャーリーズ・セロン)と出会う。
華やかな彼女に惹かれたガイだったが、奔放な彼女はパリへ旅立ってしまう。
そして3年が経ち、ギルダからの手紙に導かれてガイもパリにやってくる。
しかし売れっ子カメラマンとして活躍していたギルダは、パトロンとの関係を止めようとはしない。
そんなギルダなのだが、彼女もまたガイを愛しているのである。
その愛の形は、ギルダにとってはうわべの行動などとは無縁のもののようなのだ。
他の男との肉体関係を続けようが、そんなものは超越したところにある心の愛のようなのだ。
真から彼女に愛されていると知っても、やはりこんな愛の形は男にとっては辛い、辛いよなあ。
彼女はまたパトロンのあの男のところへ行っている・・・。辛い、苦しいよぉ。
ギルダの本当の願いは、スペインの内戦を逃れてきた友人ミア(ペネロペ・クルス)、そしてガイの3人で暮らすこと。
同居を始めた3人は、戦争の影が迫ってくるパリで享楽的な日々を送る…。
ギルダはガイを愛し、同じようにミアも愛していたのだ。
しかし、戦争という大きな渦に個人は飲み込まれていく。
後半は、それこそ時代に翻弄されていく3人の運命を描いていく。
内乱で荒廃していく祖国の現状を愁いたミアは、スペインに戻る。
そして戦場で看護師として働く。
そしてガイもレジスタンス運動に身を投じていく。
愛する2人に去られてひとりパリに残されたギルダは、パリに侵攻して来たナチスの愛人になっていくのだ。
戦争という時代はこれほどまでに個人の生き様に影を落とすのかと思わされる。
やがて連合軍がパリに侵攻してきて、ナチス支配からの解放がおこなわれる。
そしてガイは、解放された市民から売女とののしられるギルダの隠された秘密を知る。
それを知ったガイは必死にギルダのもとへ駆けつけようとする。
廃墟となったかってのギルダの部屋で、ガイは彼女の手紙を見つける・・・。
シャーリーズ・セロンが全ての作品といってもいい。
当時、実生活の恋人であったスチュアート・タウンゼントとの共演作でもある。
もちろんペネロペ・クルスもきれいで(もちろん私は彼女のファンである)、異なる魅力の美しさだった。
時代に翻弄された一人の女性の愛の物語だった。
ギルダは、うわべだけ見れば性に奔放な女性に思えるのだが、そこには自己犠牲もあり、辛く悲しいものがあった。
きれい事だけではない重いものを残す作品でした。