あきりんの映画生活

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「アナとオットー」 (1998年)

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1998年 スペイン 112分
監督:フリオ・メデム
出演:ナイワ・ニムリ、 フェレ・マルティネス

不思議感覚の恋愛ドラマ。 ★★★★☆

ある人と出会うのは運命なのか、偶然なのか。
そして、ある人と恋に落ちるのは運命なのか、偶然なのか。
この映画はアナとオットーの恋愛の始めから終わりまでを描いている。

冒頭に、これはなんだろう?という映像が流れる。
風に舞う新聞紙。
大きく目を見開らいたアナの顔、そしてその目に映っているオットー。

小学生のオットーは受けそこねたボールを追って野原を走る。
と、そこへ父親の死を知ったアナが走ってくる。
そうやって二人は初めて出会う。二人は何も言わずに見つめ合う。
あとになってオットーは思う、もし、あのとき僕がボールを受けそこねなければあの出逢いはなかった、と。

やがて、妻と離婚していたオットーの父は、夫を亡くしていたアナの母と再婚する。
思春期になったオットーとアナは、義理の兄弟になったのだ。
アナと同じ家で暮らしたいオットーは母の元を離れて父の元へくる。
両親の前では会話もしないアナとオットー。しかし二人は黙って見つめ合っている。

映像は大変に工夫されている。
アナとオットーのそれぞれの視点から見た物語を語ったりもする。
透明感に満ちていて、しんと澄みきったクールな雰囲気が漂っている。
決して甘くはなく、ドラマチックに描いているのでもない。それでいて余韻を残す。

四人で家族写真を撮ろうとしていたときに、アナはオットーにこっそりとメモを渡す。
そのメモには、「夜中に窓からやって来て。果敢に。」
なんと胸ときめく伝言だろう。オットーは果敢に窓からアナの部屋へ入っていく。
アナとオットーが初めて結ばれたその夜は風は吹きすさび、木立が大きく揺れていたのだ。
この場面は詩情にあふれていた。

やがてオットーの母親が寂しく見捨てられたように亡くなり、オットーはすべてのことに心を閉ざす。
オットーは家出をしていなくなってしまう。離ればなれになってしまった二人。

それから、広場のオープンテラスでニアミスをしながらもすれ違ってしまう二人。
アナは他の男性と結婚し、オットーは他の女性たちとつき合ったりする。
それでも二人は離れていてもおたがいを呼び合いつづけているようなのだ。

舞台は北極圏に移る。
一人になったアナはラップランドの湖の畔の小屋で、オットーを待っている。「訪ねてきて。果敢に。」と手紙を出して。
アナは沈まない太陽を見ながら、湖の畔に白い椅子を置き、オットーを待っている。
観ている者も、アナの背後に伸びている道の向こうからオットーの姿が現れるのを待っている。

原題は「北極圏の恋人たち」。
切なさがいっぱいに詰まった最後に向かっての静かな緊張が高まっていく。

これは少し異色の恋愛ものとして傑作だと思います。
情熱の国というイメージのスペインですが、この映画は徹底的に静かなブルーを基調としています。