2008年 韓国 128分
監督:ナ・ホンジン
出演:キム・ユンソク
暗黒バイオレンス。 ★★★
韓国のアクション映画はとにかく濃い。
感情表現が強いので、気持ちがねっとりと絡め取られる。
「オールド・ボーイ」で打ちのめされた韓国暗黒バイオレンスだったが、この映画も負けてはいなかった。
元刑事のジュンホ(キム・ユンソク)は、今はデリヘルを経営している、
ところが、最近店の女の子たちが相次いで失踪してしまった。貸し付けてある支度金が回収できずに大損だぁ。
そして今夜も、客のところに行かせたミジンと連絡が取れなくなる。
これは何かあるぞ・・・。
この映画は、実際に韓国であった連続殺人事件を元ネタにしているらしい。
本当にこれに類した事件があったとしたら、酷い殺人魔がいたものだ。
犯人は早い段階で姿を明らかにする。
そしてその残忍な行為が、行方不明になったミジンを必死に探すジュンホと並行して描かれる。
舞台は街のごく限られた狭い一角だけ。そこでの一晩の出来事を追う。
ある偶然も重なり、ジュンホは犯人と遭遇する。そして元同僚の援助もあって逮捕する。
しかし、物語はここから二転、三転する。
犯人に殴打されたミジンは一体どうなってしまったのだ…。
ミジンには幼い一人娘がいた。
この娘が妙に大人びていて、健気なのだよ。
母の身を案じるその健気さ、この娘にはやられてしまうなあ。
犯人は凶器に銃を使わない。
金槌を主にした鈍器系が武器。だから、肉体的な痛みが直感できてしまう。う~ん、グロい。
究極は水槽の中に揺らめく蒼白い***。う~ん、夢に出てきそう。
行為も残虐だが、それをおこなう心がとにかく残虐なのだ。
それに立ち向かう主人公の心の有様もすさまじい。
どろどろに燃えたぎっている。
日本の映画でいえば、園子温監督の「冷たい熱帯魚」や「恋の罪」の感覚に通じるところがある。
それに、それに、邦画では(ハリウッドでも) ヒロイン(?)を最後にあんな風にはしないだろう。
韓国映画は平気でそれをしてしまう。神経の図太さがすごい。
ナ・ホンジン監督は今作が第1作とのこと。2作目の「哀しき獣」もかなりの衝撃作とのこと。
少し間を置かないと観る気にはなれないな。