あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「奈緒子」 (2008年)

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2008年 日本 120分
監督:古厩智之
出演:上野樹里、 三浦春馬、 笑福亭鶴瓶、 綾野剛

高校男子駅伝もの。 ★☆

はじめにお断りなのだが、私はマラソンや駅伝のファンである。
TVでそれらの中継があれば、ほとんどを観ている。
1月は元日に全日本駅伝、そして2日、3日には箱根駅伝。この週末には全国高校駅伝、そして来週末には都道府県対抗駅伝がある。
観るだけで忙しい(笑)。

で、この映画、高校男子の駅伝もの、ということで鑑賞。
原作は何年間も連載されたコミックとのこと。(コミック原作というところがやや不安だった・・・)

結論から言うと、まったくのダメダメ映画だった。
標準以下の評価だった映画についてはあまり感想を書かないことにしているのだが、この映画は腹立ちまぎれに書いてしまおう。
(もし、この映画が好きだった人がいたらごめんなさい)

物語は単純な部活物語。
天才的な走力の主人公(三浦春馬)がいて、彼の父が死んだ原因となった少女(上野樹里)がいて、二人がお互いにわだかまりを持っていて、弱小だった陸上部が県大会での優勝をめざして・・・。
とこう書けば、もう最後まで筋が読めてしまうようなもの。
さらに、部内では非力な上級生の主人公に対する反発があり、監督(笑福亭鶴瓶)が実は余命わずかな癌末期であったりして、ますます定番通り(笑)。

しかし、しかし、この映画のダメダメだったところはそんな脚本の拙さではない(脚本もひどいけれど)。
出演者の走りが、えっ、これ真面目に映画で撮っているの?というレベルであったこと。

とにかく、三浦春馬をはじめとして、波切り高校駅伝部の面々の走りのフォームがひどい。
まともな走りの姿勢ではない。
監督は、もう少し何とかしようとは思わなかったのだろうか(汗)。

1キロ3分半で入って、ビルド・アップをして、最後は1キロ3分で走る、という練習もしていた。
しかし、あんな無駄な動きのフォームでキロ3分で走れるはずがないだろうに(怒)。

走っている主人公たちがスピード・アップすると必ず肩に力を入れている、身体を左右に揺さぶる、顔を苦しそうに振る。
そんなことしてスピードが上がるはずがない。失速するのがオチだろ。
コミックでは判りやすいようにそんな絵になっているのかもしれないが、これは実写版だぞ。
監督は何か間違えていないか?

それにレース中に主人公たちはよく転ぶ。
転ぶのはいいとしても、転んだらすぐに起き上がれよ。
1秒遅れれば5メートルはロスするというのに、あ~あ、また転んじゃったよなんて10秒ぐらい後悔してからのろのろ起き上がっている。馬鹿か、おまえは! レース中だぞっ!(罵詈雑言をご容赦)

(余談)
私もゆっくりとジョギングをする。
一応は年に何回かはハーフ・マラソンを走り、フル・マラソンも走る。ときにはウルトラ・マラソンも走る。
走っていれば、遅いなりにフォームは安定するもの。だからフォームを見れば、その人の速さまでは判らなくても、走り込み具合は判るというものです。

それはさておき。
駅伝ものといえば、箱根駅伝に出場する弱小チームを描いた「風が強く吹いている」があった。
あの映画では主人公の林遣都をはじめとして、出演者全員のフォームは実に見事なものだった。彼らはものすごいトレーニングを積んだということだった

主人公のライバルになる綾野剛だけは完璧なフォームだった。
これには感心。本当のランナーかと思ったら綾野剛だったので驚いた。彼はかなり走り込んだのだろうと思う。
(しかし物語的には、ライバルとしては弱すぎた。大差をつけていながらあっさりと追いつかれて、コミック的なデッドヒートをして負けてしまう 泣)
エキストラとしてはいろいろな高校の陸上部が協力したようなのだが・・・。

結論として、この監督は駅伝にまったく興味がない、あるいは無知。
そうでなければ、コミック原作の映画化の意味をまったく理解していない、あるいは誤解している。

駅伝に興味などなくて、ただ青春ドラマが見たいだけ、という人ならいいのかもしれない(でも、脚本も酷いです)。
少しでも駅伝が好きな人は観ない方がいいです。必ず腹が立ちます。