あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです(苦笑)。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。

「戦火のナージャ」 (2010年)

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2010年 ロシア 150分
監督:ニキータ・ハミルコフ
出演:ニキータ・ハミルコフ、 ナージャ・ハミルコフ

戦火での父娘愛、三部作の二作目。 ★★★

ニキータ・ハミルコフ監督の「太陽に灼かれて」は激しい印象を残した作品だった。
これはその16年後に作られた続編。

1943年、スターリンに呼び出されたKGBのドミートリは、かつて反逆罪で銃殺されたはずのコトフ元大佐(ニキータ・ハミルコフ)がまだ生きているとの情報を聞かされる。
前作で、ドミートリはコトフの妻となった元恋人マルーシャを取り戻すために大粛清に乗じてコトフを追い落としたのだった。

物語の中心となるのは、戦火で離れ離れになってしまった父娘のなんとか再会したいとの思い。
前作に続いて、今回も実際の父娘が演じている。

前作は1936年のできごとで、今作は映画の中では5年が経っていることになる。
前作の物語の説明は一切省略されているので、今作から見始めた人は戸惑うものと思える。
ぜひとも前作を見てから今作を見ることをお勧めする。

1941年にドイツ軍はソ連への侵攻を開始した。
労働キャンプに収容されていたコトフはドイツ軍の空襲にまぎれて脱走する。
そして懲罰部隊に入れられて過酷な戦場に駆り出されていく。
一方、ドミートリにこっそり命を助けられていたナージャナージャ・ハミルコフ)は、父コトフを探すために従軍看護師として働きはじめていた。

彼女が乗り込んでいた赤十字船がドイツ軍機による一斉射撃を受けて沈没したり、罪のない村人をドイツ軍が皆殺しにしたりする場面も出てくる。
装備の貧弱なソ連軍が圧倒的なドイツ軍の戦車部隊に全滅させられる戦場光景も映される。
容赦のない戦争の残虐さが突きつけられる。

激しい戦闘場面や過酷な状況の場面の合間に時々登場するのが、1936年夏の避暑地での美しい風景。
そう、前作「太陽に灼かれて」のときの、ボートに乗った父コトフと娘ナージャの幸せだった日々の映像。
コトフは穏やかな表情で、無邪気に父に甘えるナージャはほんとうに可愛い。
この場面が美しいほどに、今の過酷さが際だって感じられる。

戦場でのナージャの姿を映して映画は終わっていく。
瀕死の若い兵士に、死ぬ前に未だ見たことのない胸を見せて欲しいと懇願されて、厳冬の戦場で胸をはだけるナージャ
しかし、その時に兵士はもう事切れていたのだ。
カメラはその光景をどこまでも引いていく。

前作に比べると、やや冗長な感じは否めない。
たしかに独ソ戦の執拗な描写によって、戦争の持つ悲惨さ、残酷さはこれでもかというほどにつきけてくる。
ただその分だけ、主人公たちの人間描写が弱くなったような気がする。

これに続く第3作「遥かなる勝利へ」は、ふたたび圧倒的な作品になっていましたが。

ネタバレ

(予告してしまうと、コトフとナージャは最後に出会うのです。しかし、それはなんとも哀しい出会いだったのです。)