あきりんの映画生活

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「チャッピー」 (2013年)

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2013年 アメリカ 120分
監督:ニール・ブロムカンプ
出演:シャールト・コプリー、 ヒュー・ジャックマン、 シガニー・ウィーバー

人工知能ロボットは・・・。 ★★★

人工知能ロボットといえば、それはもうタイトルからしてその名のとおりの「AI」があった。
この映画のロボットはあれよりはまだ現実に近い世界でのこととして描かれている。
監督はあの異質のSF映画「第9地区」で度肝を抜いてくれたニール・ブロムカンプ監督。
今回も舞台は南アフリカの犯罪多発都市。

あまりに多い凶悪犯罪に対抗するために、警察は警察用ロボットを使用していた。
そのロボットの開発者ディオンは、世界初となるAI搭載の戦闘用ロボットを会社には内緒で製作してしまう。
ところがそのロボットは銀行襲撃を画策するギャングに奪われてしまう。

この映画の見所は、ギャングたちによってチャッピーと名付けられたAIロボットの健気さ、いじらしさにある。
なにも情報がインプットされていないAI知能というのは、言ってみれば産まれたばかりの赤ん坊と同じ訳だ。
どんな風に育てるかによって、そのAI知能が育っていく。

チャッピーを奪ったのはギャングなので、教え込む内容もギャングの世界のこととなる。
しかし、このギャングたちが意外に気持ちのよい人たちなのだよ。
特にチャッピーによって母性が目覚めた”ママ”がいい。
外見はぶっとびお姐ちゃんなのだが、チャッピーを我が子のように慈しむ。いいなあ。
ロボット姿のチャッピーも、観ているうちに幼子のように思えてくる(笑)。

悪役で登場するのがヒュー・ジャックマン
AIロボットに敵意を燃やし、自分が開発した遠隔操縦ロボットを売り込むために、あの手この手と(悪賢く)画策する。
ウルヴァリンと違って、憎たらしいねえ(笑)。

兵器ロボット会社の社長にシガニー・ウィーバー
このところ、こういった訳あり巨大会社の女社長と言えばシガニー・ウィーバーか、ジョディ・フォスターか、といったイメージになってきたなあ。

ギャングに育てられてたチャッピーは、自分の両親はギャングのカップルだと思い込んでいる。
怖ろしい速さで学習していく。
そして自分の死という概念も理解してしまう。
もともとが廃棄処分になるようなロボットにAIを植え付けたために、バッテリーがもう持たないのだ。
バッテリーが切れたときがチャッピーの死なのだ。

ロボットなのに人間のような感情を持っている。
ロボットなのに人間と同じ死の運命が待っている。
これが裏表となっている。巧みな設定である。

ロボット同士の壮絶な戦いアクション場面もあり、緩急を取り混ぜた物語も飽きさせない。
そして、最後・・・。
死を迎えるチャッピーは・・・。
死を迎えるチャッピーの制作者であるディオンは・・・。
考え出すと、なかなかに哲学的なことを考えさせる結末でもありました。

(追記)
オリジナルにあった残酷場面が日本公開ではカットされたようです。
ああ、ここだな、と容易に判る部分があります。
そのカットが一部では問題となったようですが、映画自体の面白さにはまったく影響していないように感じました。