あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです(苦笑)。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。

「Somewhere」 (2010年)

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2010年 アメリカ 98分
監督:ソフィア・コッポラ
出演:スティーヴン・ドーフ、 エル・ファニング

父娘のゆったりとしたドラマ。 ★★★

冒頭に、荒野をゆっくりと走り回る車が固定カメラで映される。
画面の左から右へ走り抜けた車は、やがて彼方の方を今度は右から左へ走り抜けて画面から消える。
かと思うと、また同じところへ戻ってきた車は同じように画面を横切っていく。
これを5回か6回くり返すのだ。なんだ、こりゃ。
しかし、この固定カメラでのゆっくりとした場面の切り取りが、この映画の雰囲気をすべてあらわしている。

ハリウッドの映画スターであるマルコ(スティブン・ドーフ)は豪華ホテルで暮らし、高級車を乗り回してはパーティーで酒と女に明け暮れる毎日。
ホテルの部屋にポール・ダンサーを呼んでは、それを一人で眺めていたりする。
しかし、それらがうわべだけの華やかさであることを、映画は上手く捉えている。

マルコも、俺って馬鹿だよなあ、何しょうもないことを続けているんだろ?と思えればいいのだが、そうも思わないので、だらだらとそういう日々が続いているわけだ(笑)。

ロスト・イン・トランスレーション」でもそうだったが、この映画も物質的には充たされているのに、気持ちはどこか虚しい人が主人公。
そんな人がなにを求めて彷徨うか、なにを得て救済されたか。
物語は単純で、もうそれだけの映画。
ていねいに撮られた映像でそれを追っていく。

ある日、マルコの前に前妻と同居している娘クレオエル・ファニング)があらわれる。
前妻が家を空けるため、しばらくの間、娘の面倒を見てくれと。
こうして、(面倒くさいなあと思うマルコにかまわずに)淡々とした父娘の生活がはじまる。

このエル・ファニングが、やはり可愛い。
彼女の可愛さでこの映画の評価もずいぶんと保たれた(笑)。
マルコとクレアがプールに潜って、水中で身振り手振りでやりとりをする場面がある。
その和やかさ、その満ちたりた幸せ感には、思わずうっとりしてしまう。

やがて二人は、マルコの授賞式に出席するために一緒にイタリアへと向かう。
相変わらずのマルコは、一夜を共にした女性とクレアの3人で朝食を取ったりもする。
しかし、次第にマルコも気づく、そうか、女性と過ごす享楽の時間よりも、娘と過ごすのんびりとした時間の方が、満ちたりているぞ!
簡単に言ってしまえば、それだけの映画なのだが・・・・。

有名映画人の父親とその娘という登場人物の設定には、誰だってソフィア・コッポラ監督自身が色濃く反映されていると感じるだろう。
そのセレブ体質を鼻につくと思うかどうかだが、逆に言えば、彼女にしか撮れない映画であることもたしかだ。

余分な説明はなしに映画はゆっくりと進む。
退屈してしまいかねない一歩手前の感じで、ひとつひとつがゆっくりと進む。
そして映像はとてもていねいに撮られていて、美しい。
このゆったり感と美しさ、この感じを監督は狙っているのだろうなあ。

好き嫌いが分かれる映画かもしれません。
ヴェネツィア映画祭で金獅子賞を取っています。