1991年 アメリカ 128分
監督:リドリー・スコット
出演:スーザン・サランドン、 ジーナ・デイビス、 ハーベイ・カイテル、 ブラッド・ピット
女二人のボニーとクライド。 ★★★
主人公は、ジーナ・デイビス演じるテルマと、スーザン・サランドン演じるルイーズ。
DVの夫とおどおどと暮らしていた主婦テルマは、友達のウェイトレス、ルイーズに誘われてドライブに出かける。
たまには楽しまなくっちゃね。
テルマとルイーズは、微妙に性格が異なっている。
テルマはDVをおこなう夫以外の男性を知らないほどに初心。
だものだから、かえって男には興味津々。アバンチュールを楽しみたがる。
危なっかしいなあ。
一方のルイーズは姐御肌。
過去にはなにやら辛いこともあったようなのだが、今はジミーという良いパートナーにも恵まれている。
何事かが起こっても、私が何とかしなくちゃ、と必死に頑張る。
この二人の組み合わせが絶妙のバランスで、この映画が成功していた。
楽しいドライブ旅行のはずだったのだが・・・。
途中のドライブインで、男に無防備だったテルマは、案の定、行きずりの男にレイプされそうになってしまう。
そのとき、思わずルイーズは男を射殺してしまう。
えっ、こんなことが起こるなんて!
これから私たちはどうすればいいの?
よせばいいのに、二人はそのまま逃避行をおこなうことにしてしまう。
人まかせで案外ちゃっかりしているテルマ。イライラしながらも逃亡計画を立てるルイーズ。
大型のオープン・カーで二人は広大な砂漠のような中の道をひた走る。
二人を追う警察役にハーベイ・カイテル。この人はしみじみ味わいがあるんだよねえ。
途中で知り合う若者は、なんとブラッド・ピット。驚いた。こんなところに出ていた。
この若者、純情そうにテルマに近づいてくる。
テルマも(また止せばいいのに)まんざら悪い気もしなくて、そんなことになって、そのあげくにあんなことになってしまって・・・。
ほら、言わんこっちゃない。(苦笑)。
(余談)
まだ無名だったブラピはオーディションを受けてこの役を射止めたとのこと。
この映画で認められて、オファーが来るようになり、やっと生活に困らなくなったとか。
同じオーディションにはジョージ・クルーニも応募していたとのこと。へえ~。
ジーナ・デイビスはあまり好きな女優ではなかったが、この映画の彼女は好かった。
事件が進むにつれてどんどんと変わっていくのだ。
それまで押さえつけられていた素顔の自分が、極限の状態に置かれることによって、次第に目覚めてきているようだった。
事態はどんどんと悪化していく。
居直ったテルマは、ルイーズを差し置いて、大胆なことなあることもはじめてしまう。
もう行く手には破滅しか待っていないような二人なのだが、人生を初めて生き生きと過ごしているようなのだ。
最後の場面は、90年代のニューアメリカン・シネマと評される所以か。
さすがにリドリー・スコット監督。魅せてくれました。
もう20年以上も前の映画ですが、面白さは古びていません。