2010年 フランス
監督:レベッカ・ズロトブスキ
出演:レア・セドゥ
喪失感を抱いた少女のドラマ。 ★★
注目の新進女優レア・セドゥの作品ということで宣伝された作品。
もちろん彼女はその後、「アデル、ブルーは熱い色」でパルムドール賞も取ったし、「ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル」や「007/スペクター」でハリウッドにも進出して、誰もが知る存在になった。
母を亡くしたばかりの17歳の少女プリューデンス(レア・セドゥ)。
父は海外勤務で不在、姉も家を出ており、一人暮らしの彼女は存在感の薄い生活をしている様子。
そんな彼女は、偶然出会った不良少女に連れられてパリ郊外でおこなわれている違法なバイク・レースに出かける。
彼女は何かの代償を求めるように男とつきあい始め、夜の街をタンデムのバイクで走り抜ける。
この映画のレア・セドゥは儚げである。
何に固執することもなく、表情はいつも沈んでいる。
成熟しきっていないような身体つきも頼りなげである(しかし、この映画の時は25歳にはなっている)。
そんな彼女の静かな魅力が出ていた作品だった。
しかし、私には映画全体が単調である感が否めなかった。
いろいろな出来事が起きても、どこか少女を揺り動かすことがまったくないのである。
たとえば17歳ぐらいの少女の屈折心理を描いたドラマには「悲しみよこんにちは」などがあったが、それに比べると緊張感が薄かった。
もちろん、少女をおおっているそういった無気力なものを描きたかったのかもしれないのだが。
それだけにラストの展開には驚いた。
(以下、ネタバレ)
唐突に現れた母はプリューデンスの妄想だったのか、それとも、母は死んだという彼女の言葉が妄想だったのか。
解釈は観ているものに委ねられて映画は終わっていく。
この映画ではレア・セドゥはセザール賞の新人女優賞にノミネートされています。