あきりんの映画生活

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「響 HIBIKI」 (2018年)

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2018年 日本 104分
監督:月川翔
出演:平手友梨奈、 北川景子、 アヤカ・ウィルソン、 小栗旬

15歳の天才文学少女。 ★★★☆

ちょっと失礼な言い方になるが、予想を超えてはるかに面白かった。
原作はマンガ大賞を受賞したコミックとのこと(未読)。

主人公は15歳の女子高生の響(平手友梨奈)。
とにかく小説を読むのが好き、そして小説を書くのが好き。
ただしあまりに小説至上主義なために、周りとはすぐにいざこざを起こす。
彼女にとっての面白い小説の価値観を守るためには、絶対に妥協しない。信念を曲げない!

そんなヒロインは部員4人の高校の文芸部にいる。そしてある雑誌の新人賞に応募している。
その文芸部には、超売れっ子作家の娘もいたりする。
その彼女も響の小説を読んで、その才能に唖然とするのだ。

世に小説家を目指す人は少なからずいる。
ほとんどの人は小説の同人誌のような所に作品を発表し、手当たり次第に新人賞に応募し、作家として世に出ることを夢見ている。
商業雑誌に作品が載れば、それはそれで一つのステップを上がったことになる。
さらに賞の候補にでもなれば、小説志望者の中ではエリートといってもいいだろう。
それでも小説だけでは食べてはいけない。作家になる夢を抱いてしまった人の不幸も苦労もあるわけだ。

辛いことに、芸術の分野では努力と才能は比例しない。
どんなに努力しても才能のない人は報われることはない。
逆に、持って生まれた天才的な才能の持ち主も一方でいるわけだ。

そして、15歳の響は天才だったのである。
彼女が書いた小説は、なんと芥川賞直木賞の両方の候補になってしまうのである。歴史的な快挙である。
しかし彼女はそんなことには無頓着。
彼女にとっては、ただ面白い小説であるかどうかだけが問題なのだ。

だから彼女は周りの思惑など気にしない。妥協しない。信念のためには無茶もする。
因縁を付けてきた不良同級生の指をへし折る。
文学賞の審査員である作家に向かって、あなたは昔は才能があったが、今はただの燃えかすだ、と言う。
自分の作品を読みもしないで馬鹿にした相手に跳び蹴りをくらわせる。等々・・・。

主役の響を演じた平手友梨奈は初めて観たのだが、その存在感はすごかった。
なんでも欅坂46というアイドル・グループの一員らしいのだが(エンディングでは主題歌を歌っていた)、もう女優としてやっていけるのではないだろうか。
今年の日本アカデミー賞の最優秀新人賞を取るのではないだろうか。
しかし、あまりにもこの役がはまりすぎていた。
他の役が演じられるかどうかが、ちょっと心配ではあるのだが・・・。

月川監督の「きみの膵臓をたべたい」にも出ていた北川景子小栗旬は、この映画では見事に脇にまわっていた。
北川はコミカル担当だし、小栗はヒロインの才能の引き立て役に徹していた。
ややオーバーなところもあったが、なかなかにお見事だった。

とにかくこの映画、平手友梨奈の存在感に尽きる。
物語もそれこそコミック的に進むのだが、エキセントリックなヒロインの行動に溜飲も下がるし・・・。

観て損はない映画でした。
観るまで馬鹿にしていた。ご免なさい。