2014年 アルゼンチン 122分
監督:ダミアン・ジフロン
ブラック小話集。 ★★★
6つのエピソードが描かれている。
それぞれの話はまったく独立しているのだが、共通しているのは”怒り”。
あまりに腹が立って、つい(とうとう)やってしまった! という物語を集めている。
1.「おかえし」
仕事の依頼で飛行機に乗ったファッションモデルが廻りの乗客と雑談をしていると・・・。
あれ? 乗り合わせた乗客全員がある人物を苛めた過去があったことが判明する。
えっ、これ、偶然? まさか・・・。ということは・・・。
最後の場面がぶっ飛んでいて、面白かった。
2.「おもてなし」
郊外のレストランのウェイトレスは、深夜にあらわれた客が、父を自殺に追いやった高利貸しだと気づく。
復讐したいと言う彼女に、同僚のおばさんは過激な提案をする。
えっ、そんなことしちゃっていいの・・・。
このふてぶてしいおばちゃんが何とも存在感があったなあ。
最初の2本は、言ってみれば肩慣らし。単純に描かれて、時間も短い。
ウォーミングが終わったあたりから一話の時間がすこし長くなってくる。
さあ、これからだぞ。
3.「エンスト」
荒野の一本道で前をノロノロ走るオンボロ車を追い越しざまに罵声を浴びせた新車の男。
おいおい、そんなことをしていいのか。ほら、あの「激突!」を思い出してしまうじゃないか(笑)
案の定、男の車はパンク。やれやれとタイヤ交換を始めたところに、オンボロ車が追いついてきた。
ほ~ら、ね。言わんこっちゃない。
4.「ヒーローになるために」
何回も駐車違反をしてレッカー移動させられた主人公は役所の窓口で抗議をするものの、冷たくあしらわれてばかり。
ようし、そっちがそうするなら、こっちはこうしてやるぞ!
この主人公の俳優さんは、あの「瞳の奥の秘密」の人だった。
5.「愚息」
馬鹿息子が交通事故を起こして妊婦を死亡させてしまった。息子を溺愛している両親はどうする?
父親は大金を使って隠蔽工作を画策する。すると、図に乗った小悪党どもは礼金をどんどんつり上げてくる。お前ら、人の弱みにつけ込みやがって!
さて、隠蔽工作は上手くいく・・・かな?
6.「ハッピー・ウェディング」
嬉しいはずの結婚式に、彼が元カノを呼んでいた。しかも、二人は今でも・・・。
ということで、花嫁がぶち切れる。このぶち切れ方がただ事ではない。
もう会場はガタガタ、出席者はオタオタ。この結婚式、どうなる?
どれも、怒りにまかせて、つい暴走してしまった(要するに、怒りのスイッチが入ってしまった!)というお話なので、内容はかなり過激。
スイッチが入ってしまった後の展開はその人の人生も大きく変えていて…。
あれよ、あれよ、と惹き込まれます。
ブラック・コメディが好きな人なら、ハマりますよ。
ペドロ&アグスティン・アルモドバル兄弟が惚れ込んでプロデュースしています。