1974年 イギリス 128分
監督:シドニー・ルメット
出演:アルバート・フィニー、 ローレン・バコール、 ショーン・コネリー、 アンソニー・パーキンス、 ジャクリーン・ビセット、 イングリッド・バーグマン、 ジョン・ギールグッド、 リチャード・ウィドマーク
列車殺人ものの古典。 ★★★★
なんといっても、この豪華な出演者に驚く。
いったい出演料を合わせたらいくらぐらいかかったのだろう、と心配になるほど。
殺人事件の起こるオリエント急行1等寝台車に乗り合わせたのは、たまたま乗ることになった名探偵ポワロと、被害者、11人の乗客、それに車掌。
雪の中に閉じ込められて立ち往生した列車内の殺人なので、犯人はこの乗客の中にいる!ということになる・・・。
冒頭の、アメリカで起きた幼児誘拐殺人事件の説明部分をのぞいては、オリエント急行列車の車内だけで物語がすすむ。
派手なアクション場面などはいっさいなし。登場人物の車内の限られた行動の描写と、あとは会話のみ。
それなのに、素晴らしく面白い。
もちろんアガサ・クリスティの原作は読んでいる。犯人(!)も知っている。
それでも映画は面白く楽しめる。
名優達の共演という要素もあるのだが、原作の面白さを上手く取り入れての作品に仕上がっている。
おしゃべりな役どころのローレン・バコールが目立っていて、かなり光っていた。
それにひきかえ、宣教師という役柄のイングリッド・バーグマンは、役柄のせいもあるのだろうが、地味な感じであった。えっ、これがバーグマン?というほど。
この映画はこの年のアカデミー賞のいろいろな部門にノミネートされた作品だが、実際に受賞したのはバーグマンの助演女優賞だったとのこと。
アンソニー・パーキンスは目の表現が上手い役者だなあ、と感心。
彼が独身の理由を尋ねられて、私がマザコンだとでもいうのですか、と反論する場面があったが、あれって・・・(笑)。
ポワロが乗客のひとりひとりに話を聞いて調査を進めていくと、なんと、全員に殺人事件の時間のアリバイが成立してしまう。
(ここが肝心の面白いところなのだが、映画ではわりとあっさりと流していたような・・・)
おや、それでは犯人は誰だ?
関係者を集めて、名探偵が推理を披露して犯人を名指す、これが推理ドラマの王道である。
やはりこの場面になると、犯人を知っていても、わくわくする。
もし、原作を知らなければ、この映画の楽しさは10倍になるでしょう。
シドニー・ルメット監督が亡くなられた。哀悼の意を・・・。