2016年 インド 135分
監督:ラージャー・メーノン
出演:アクシャイ・クマール、 ニムラト・カウル
難民脱出の人道ドラマ。 ★★★
インド映画でこのタイトルとくれば、これはもう、航空パニックものかと思ってしまう。
一大騒動となって、途中に例の歌と踊りがてんこ盛りかと思ってしまう。
・・・違った。まったく違った。
真面目な(!)人道ドラマだった。
1990年イラクはオイル・マネーに目をつけてクウェートに武力侵攻する。
いきなり首都に戦車が攻め入ったかと思うと、クウェート人を問答無用で殺戮していく。
これは怖ろしい。
当時、クウェートには17万人のインド人が暮らしていた。
クウェートで大会社を経営していたランジートは、妻と子どもを連れてとにかく国外へ脱出しようとする。
しかし、そこには自分を頼っている会社の従業員たちがいた。
彼らを残して自分たちだけが助かるわけにはいかない。
ランジートは会社の建物を避難場所として、食糧の確保をおこなったりし始める。
そのためには、居丈高にここぞとばかりに私腹を肥やそうとするイラク軍の将校とも交渉しなければならない。
すると、クウェートにいたインド人が次々とランジートの会社の避難場所に集まってきてしまう。
自分の会社員だけでも大変なのに、こんなに人が集まってしまってどうすればいいんだ?
しかし、皆ランジートを頼って集まってきている。
このランジートという人物、この事件が起きるまでは利己主義の塊だった。
自分の会社が儲かればそれでいい、いや、自分が儲かればそれでいい、と考えていたような人物。
それがみんなの危機を目の当たりにして、私欲を捨てて必死に頑張り始める。
えらい。
避難してきた人々の中に、事あるごとに文句ばかり言ってくるおじさんがいる。
トイレの水が流れないぞ、何とかしろ、お前はリーダーだろ。
食べ物が少なすぎる、飢え死にしそうだ、何とかしろ。お前はリーダーだろ。
こういう文句ばかり言っていて、そのくせ自分はなんにもしない奴って、集団の中には必ずいるよなあ。
本当に腹が立つ。
とにかくクウェートから脱出しなければならない。
しかし、どうすればいいんだ? もう食料もなくなってきたぞ。
必死にインド大使館やインド本国と交渉するランジート。
こうなりゃ1000kmあまりを移動してヨルダンへ逃げ込むしかない。
しかし、果たしてヨルダンは避難民を受け入れてくれるのか?
実話に基づいた物語とのこと。
インド映画も、お馬鹿なマサラ・ム-ビー(これは褒め言葉です 大好きです)ばかりではなかったのだな。
さすが映画大国だけのことはある。
こんな大変な状況からどうするんだと、最後までハラハラさせられて見終わりました。
ランジートの奥さん役の人をどこかで観たなあと思っていたら、あの「めぐり合わせのお弁当」のヒロインの人だった。