あきりんの映画生活

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「海よりもまだ深く」 (2016年)

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2016年 日本 117分
監督:是枝裕和
出演:阿部寛、 真木よう子、 樹木希林、 小林聡美

毀れてしまった家族。 ★★☆

冴えないだめだめ男が、嵐の夜に別れた妻子と一晩を過ごすという、ちょっと痛くなるような人間模様。
ダメダメ男・篠田に阿部寛。気丈な妻に真木よう子。篠田の年老いた母に樹木希林。篠田の姉に小林聡美
役達者なそうそうたる出演陣で、さすがの演技を楽しんだ。

自称作家の篠田は、昔にちょっとした新人賞を獲ったものの、その後はまったく書けないでいる。
しかし、気持ちだけは今でも作家。しかし、ギャンブル好きで、妻には愛想をつかされ離婚。
今は、小説を書くまでの仮の姿と称して探偵事務所で働き、息子との月に一度の面会だけが楽しみな日々。情けない。
元妻にも未練たらたらで、やり直せないかなあ、と本音を漏らしては冷たく拒絶されている。情けない。

老母役の樹木希林がさすがの存在感。
カルピスを凍らしては、ほれ、おやつ、といって娘に出したりする。
娘(この小林聡美も、ああ、こんなおばさんがいそうだなあ、と思わせて上手い)が、これ固すぎるよと文句を言うと、食べるのに時間がかかるから好いんだよ、と平然としている。
いいなあ。
息子と別れた元妻に、あんたたちはもう駄目なのかねえ、と愚痴ってみせたり。
のんしゃらんでいながら、人への気遣いを見せている。いいなあ。

息子との面会日に、篠田は息子と一緒に母のアパートへやってくる。
夜になって息子を迎えに来た元妻。
と、接近してきた台風で荒れ模様の天気となり、帰れなくなった篠田と元妻、息子は一緒に夜を過ごすことになる。

篠田が、なあ、いいだろう、と元妻に迫っては冷たく拒絶されたり。
嵐の夜の子どものころの思い出を息子に語った篠田は、息子と一緒に公園の遊具の中へ出かけてみたり。
そこへ元妻もやって来たり。

嵐の夜の、通常とはちょっと違う一夜を、ちょっと違う感情で一緒に過ごす3人・・・。

嵐が過ぎれば、元通りの日常の朝がやって来る。
そんな風に過ぎた一夜のできごとを、ユーモアをからませながらもほろ苦い感じで描いている。

ヒーローなんてあらわれない淡々としたドラマです。
それにしても、主人公がヘタレすぎるなあ。