1986年 アメリカ 92分
監督:リチャード・ベンジャミン
出演:トム・ハンクス、 シェリー・ロング
ドタバタ喜劇。 ★★☆
今から30年以上前の映画。
当たり前のことだけれどもトム・ハンクスが若い。そのへんの軽~いお兄ちゃん風情(笑)。
でも、気軽に楽しく観ることのできる作品。
家を探していた若いカップルが、驚くほど格安の物件を見つける。
庭もついた立派な一軒家で、豪華な造り。ロビーも、2階へ続く階段もお洒落。
こんな立派な家がどうしてこんなに安いの? 買わなきゃ嘘でしょ。
タイトルの「マネー・ピット」を直訳すれば”金食い虫”。
もうそのままの内容の映画で、その物件は実はいたるところにがたが来ていて、修理をするのに莫大な費用が嵩むことが判ってくる。
ということで、なけなしのお金をはたいて買ったとたんに、お洒落できれいだった建物が、次々に壊れていく。
開けようとしたドアは外れ、上ろうとした階段は崩れ落ちるわ、水道からは泥水が出てくるわ、電気の配線はショートして燃え伝わっていくわ・・・。
どたばたと慌てふためく二人が、単純に笑わせてくれる。
若い二人の夢の生活は、まるで廃屋のキャンプ状態となっていく。
修理職人を頼めば、腕はいいのだがやる気があるのかないのか判らないような親方が、職人集団を引き連れて、嵐のようにやってくる。
家中が工事現場となって、二人はそんな中で暮らしていく。
実は妻(シェリー・ロング)には、今でも言い寄ってくる元カレがいる。
その彼は世界的な名指揮者で、シェリーはその楽団員だったりもする。
すると、ひょんなことで焼けぼっくいに火がついてしまいそうになったりもするのだ。おやおや。
すったもんだの末に家は見事に修理が終わる。
しかしその頃には若夫婦の仲は険悪となっており、折角きれいになった家を売り払う相談まではじめてしまう。
おいおい、どうなる?
修理職人の親方がすばらしい台詞をはく。「土台がしっかりしていれば修復は可能だ」
おお、何とすばらしい名言だ。
家も、そして夫婦仲も根本的なところがしっかりしていれば壊れることは決してない訳だ。
冒頭で借金を息子に押しつけてブラジルへ逃げていったトム・ハンクスの父が出ていた。
映画の最後に、若い女性といちゃつきながらその父がブラジルで豪華な家を買おうとしている。
その売り主は、ありゃ、トムにくだんの物件を言葉巧みに売りつけたおばさんではないか(笑)。
肩肘を張って観るような映画ではありません。
少しオールドファッションな雰囲気も漂うどたばた喜劇です。
気持ちが疲れたときに、心がギスギスしたときに、これを観てのんびりと楽しみましょう。