あきりんの映画生活

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「ルーム」 (2015年)

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2015年 アイルランド 118分
監督:レニー・アブラハムソン
出演:ブリー・ラーソン

母子のサスペンス。 ★★★★

一つの映画の中に異なる味付け、狙いの物語展開が入っていた。
前半はまったくのサスペンス、そして、後半は、ああ、というようなヒューマン・ドラマになっていた。

前半のサスペンス部分の設定については、映画の宣伝で知っていた。
すなわち、7年間もひとつの部屋に監禁されている母(ブリー・ラーソン)と、部屋の中の世界しか知らない5歳の息子ジャックの物語である。
なぜ、こんな状況が生じた?

ジャックが見る外の景色は天窓からの空だけ。
母親からは部屋の外には何もないと教えられ、部屋の中だけが世界の全てだと信じていた。
TVに映るのは作り物の世界だと教えられてきた。
ジャックの頭にある世界観のことを考えると、可哀想だという気持ちを通り越して、不思議にすら思えてくる。

定期的に食料や生活必需品を運んでくる男がいる。
その男が訪ねてきている間は、ジャックは狭いクローゼットの中に潜んでいる。
実は、母は7年前に男に誘拐され、この部屋に監禁されていたのだった。
ジャックが5歳ということは、彼は母がこの部屋に監禁されてから生まれたということになる。
当然ジャックの父親は・・・。

こんな状況からいったいどう展開するのだろうと、閉塞感が漂う場面に入り込んでしまう。

(以下、後半のネタバレです)

ジャックを一人で部屋の外へ脱出させることを決意した母親。
ジャックも教えられたとおりに頑張る。ついに部屋の外へ・・・。
そしてジャックを発見した婦人警官が優秀だったなあ。彼の話す断片的なわずかの情報から母親の監禁場所を割り出す。
そして救出。

この映画の特筆すべき点は、母子が救出されてよかった、よかった、で終わらないところ。
というか、感動的なのはここからの展開だった。
だって、部屋のなかだけが全世界だと教え込まれていたのに、外にはこんな世界があっただなんて、信じられるか?
そりゃ、いきなり世界が広がったら戸惑ってしまうよなあ。

母親だって少女だった時からの7年間で両親は離婚しているわ、世間は変化しているわで、順応するのは大変。
ジャックなんて、こんな世界が存在することさえ認識していなかったのだから、そりゃ、大変。

なかなか外の世界に馴染めずに落ち込むジャックは、元の部屋に戻りたい、あそこでママと二人で暮らしたい、あの頃が幸せだった、と言う。
ああ、そうか・・・と思ってしまう。
小さく閉じ込められていた世界は、それが彼のすべてであり、何も欠けてはいない完成された世界だったわけだ。
この彼の思いはよく判るものだった。

この映画、冒頭でジャックが部屋の中のいろいろなものに、お早うと言っている。
そして、この映画の最後、再び訪れたかっての監禁部屋に向かってジャックは、さようならと言う。
ジャックにとって、自分を閉じ込めていた部屋への”さようなら”が、新しい自分への”こんにちわ”だったのだろうと思えた。

ということで、後半のヒューマン・ドラマにやられてしまった。
安易に事件ものかと思っていた自分は、まだまだ人間が浅いなあ。

ブリー・ラーソンはこの映画でアカデミー主演女優賞をとっています。
それに加えて、ジャック役のジェイコブ・トレンブレイ。女の子と見間違うほどにすごく可愛い。そしてこの演技の素晴らしさ。
この映画の成功はジェイコブの演技があってこそ、と思えました。