1989年 日本 125分
監督:リドリー・スコット
出演:マイケル・ダグラス、 高倉健、 松田優作、 アンディ・ガルシア
日本画舞台の刑事もの。 ★★★
言わずとしれた松田優作の遺作として有名な作品。
この映画撮影のとき、彼はすでにかなり進行した膀胱癌に侵されていたのだが、そのことを知っていたのは知人ただ一人だけだったという。
自分の命よりも、好い映画に出演したいという執念の方を選んだのか。
レストランでの日本ヤクザの殺人に遭遇した刑事ニック(マイケル・ダグラス)とチャーリー(アンディ・ガルシア)。
二人はその犯人佐藤(松田優作)を日本に護送する任務に就くが、大阪空港でまんまと逃げられてしまう。
こうなりゃNY警察のメンツに賭けても佐藤を捕まえるぞ。
ということで、映画の舞台は大阪。
それこそ30年近く前の風物が懐かしく画面に映っている。
日本人スタッフがかなり監督にアドバイスをしたということで、外国映画でしばしば見られる”おかしな日本”感はほとんどない。
(しかし、朝の工場の出勤風景が自転車だらけなのは、中国と混同していないかい?)
よそ者であるニックとチャーリーは、松本警部補(高倉健)の協力をあおいで、なんとか佐藤を捕まえようとする。
しかし、佐藤は逆に自分を捕らえた二人を殺そうとする。
松田優作の狂気ともみえる迫力は、やはりすさまじい。
オーディションで勝ち取ったというこの映画の役の演技に賭けていたのだろう。
松田扮する佐藤にチャーリーが殺される場面で、それを目撃しているニック役のダグラスは、チャーリー、逃げろ!と叫ぶところを、思わず、ガルシア、逃げろ!と、役名ではなく本名で叫んでしまったという。
ダグラスによると、本当にアンディ・ガルシアが殺されてしまいそうだと錯覚してしまったとのこと。
どこまで本当の話かは判らないが、松田優作の演技の迫力を伝える逸話である。
日本の警察に対してニックのとる態度が不遜に見える場面が、いくつかあった。
アメリカ映画で、主人公の刑事が活躍しなければならないのだから、ある程度は致し方ないのだろう。
最後はまさかのエンディングだった。
農場での格闘で、佐藤はてっきり・・・と思っていたのだが。
もっと松田優作の登場部分があったかのように記憶していたのだが、今回見直してみるとそれほど多くはなかった。
それなのにあれだけの印象を残すということは、その演技が鬼気迫っていたからだろう。
合掌。