2016年 アメリカ 113分
監督:テイト・テイラー
出演;エミリー・ブラント、 レベッカ・ファーガソン、 ヘイリー・ベネット
愛憎サスペンス。 ★★★☆
なかなかに手の込んだサスペンス。
3人の女性は、好い人なのか、それとも悪い人なのか。
アルコール中毒の私は記憶も定かではなくて、私はなにか悪いことをした?
レイチェル(エミリー・ブラント)は愛する夫トムと離婚し、今は友人の家に居候している。
毎日の通勤電車からは、かって彼女がトムと暮らしていた家が見える。
そしてその近くには、仲むつまじそうな夫婦の住んでいる家もあり、理想のカップルである彼らの幸せそうな姿を見るのは、レイチェルの楽しみでもあった。
「オール・ユー・ニード・イズ・キル」や「ボーダーライン」では、どちらかといえば強い女性を演じてきたエミリー・ブラントだが、この映画ではまったく違う。
アルコール浸りの生活を送って無気力なレイチェルを演じて、その暗い表情が、自分自身に対する絶望感や不信感をよくあらわしていた。
レイチェルはある日、車窓から理想のカップルの妻メガン(ヘイリー・ベネット)が不倫をしているかのような場面を目撃してしまう。
そしてメガンはそのまま行方不明となっていた。
メガンになにが起こったの? 調べなきゃ。
気が動揺したままにその家を訪ねようとするレイチェル。
そこへ至る道の暗いトンネルの向こうには誰かがいて・・・。
気がついたときには、レイチェルは血まみれになって自分のベッドに横たわっていた。
何があったの? 私はどうなったの? 私はいったい何をしたの?
そして殺されたメガンの遺体が森の奥で発見される。
あのメガンに何があったの? あの不倫相手は誰? 血だらけだった私は・・・?
子供が欲しかったレイチェル。しかし子供はできなかった。
それなのに、トムが再婚した新しい奥さんアナ(レベッカ・ファーガソン)には可愛い赤ちゃんが生まれて・・・。
うらやましいわ。私にも赤ちゃんがいたら・・・。あの赤ちゃんを見るだけでもいいわ・・・。
えっ、あの赤ちゃんのベビー・シッターをメガンがしていたの?
アルコール中毒による意識の混乱を、揺れるカメラの映像が巧みに捉えている。
しかも、意識の混乱をあらわすように、映像の時間軸も前後したりして、観ている者もまた意識が混乱してくるようだ。
登場人物は男女3人ずつの6人だけ。
だから犯人は割とわかりやすい。それほど意外な人物でもないし・・・。
しかし、その6人の関係の絡み合いは、見事に観ている者を刺激してくれる。
雰囲気のあるサスペンスものです。
レイチェルの理想の奥さん像だったメガンの素顔も、物語を盛り上げてくれます。
お勧めです。