2012年 アメリカ 106分
監督:ターセム・シン
出演:リリー・コリンズ、 ジュリア・ロバーツ、 アーミー・ハマー
もうひとつの白雪姫物語。 ★★☆
童話をネタにした映画はこのところ多い。
白雪姫を題材にしたものでは「スノー・ホワイト」があった。
こちらは、あの「ザ・セル」や「落下の王国」で目眩むような画面を作ったターセム・シン監督作である。
どんな童話になっていることやら。楽しみ。
白雪姫(リリー・コリンズ)は、国王である父が亡くなってからは継母の女王(ジュリア・ロバーツ)によって幽閉されてきた。
贅沢三昧の女王のために王国は破綻寸前。
そこで女王は隣国の王子との結婚を画策するのだが、その王子は白雪姫と恋に落ちてしまう。
これまでターセム・シン監督作の衣装デザインを担当していたのは石岡瑛子だった。
その奇抜で鮮やかな衣装には、文字通り目を奪われてきた。
これが遺作となっており、彼女への献辞が記されていた。
今回もその衣装デザインは華やかで、画面を彩っていた。
しかし映画全体のビジュアルは、期待していたほどのものではなかった。
童話世界なのだから、思い切り羽目を外して奇妙な美しさを見せてくれるのかと思っていた。
ちょっと期待値を上げすぎていたのかもしれない。
白雪姫は恐ろしい怪物がいる森に追いやられてしまうのだが、そこで例の7人の小人と出会う。
この小人たちがまったく可愛くない。背の小さいむさ苦しいおやじたち。
しかも盗賊を生業としている。
子供の夢を壊すような小人たちであるのだが、とにかく白雪姫を助けてはくれる。
そして一緒に女王への逆襲をするぞ。 さあ、剣の稽古だ。
悪役の”鏡の女王”にジュリア・ロバーツ。
彼女が悪役を演じるというところが眼玉のひとつだったのだろうが、魅力はもうひとつだった。
どうしても「スノー・ホワイト」の悪役、シャーリーズ・セロンと比べてしまう。
セロンは正統派美女だけに、悪役ぶりも怖ろしいほどにはまっていた。他の出演者をみんな喰ってしまったほど。
それにひきかえ、ロバーツはファニー・フェイス美女なのである。絶対的な美女の基準から少し外れている。
そこが彼女の本来の魅力なのだが、悪役をする際には怖ろしさも緩和されてしまっていた。
白雪姫にリリー・コリンズ。
彼女を見て、あまりの眉毛の太さにびっくり。これはすごい。
今どきこんな眉をしているのは、”世界の果てまで”のイモトぐらいしかいないのではないか(笑)。
しかし、勇気あるこの眉も、見ているうちにだんだん可愛く思えてきたぞ(笑)。
物語としては、もうこの手の作り方はやり尽くされてしまったかな、という感じだった。
作られてからかなり時間が経ってからの鑑賞だったので、私の中で新鮮味が感じられなかったのは、残念だった。
エンドクレジットで、インド音楽風の主題歌が流れ、リリー・コリンズがちょっとコミカルな踊りを見せてくれた。
曲は、身体がすぐに動き出しそうな割と単調なリズムに、甲高い歌声がのって、楽しい。
それに合わせての踊りも、群舞を基本にしたような動きで、やはり楽しい。
かってのインド映画につきものの歌と踊りが好きな者としては、とても嬉しかった。