あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「しあわせの帰る場所」 (2008年) クソ親父役のウィレム・デフォー

2008年 99分 アメリカ 
監督:デニス・リー
出演:ライアン・レイノルズ、 ウィレム・デフォー、 ジュリア・ロバーツ
    エミリー・ワトソン、 キャリー・アン・モス

家族の再生ドラマ。 ★★★

 

「しあわせの~」という邦題はやけに多いような気がする。
ちょっと思いつくだけでもサンドラ・ブロックの「しあわせの隠れ場所」、トム・ハンクスの「幸せへのまわり道」などというのがあった。カトリーヌ・ドヌーブおばさまの「しあわせの雨傘」なんてのも。
日本人は”しあわせ”が好きなのかな。

 

ちなみに原題は「庭の蛍」と、芥川賞候補になりそうな、かなり文学的なもの。
これは主人たちが幼かった頃に、テニスラケットで蛍を追いかけて叩き潰す(!)場面からきている。

 

さて。済ました感じでの映画要約としては、とある家族の確執と再生を描くヒューマンドラマ、ということになる。
映画は現在と、主人公の少年時代を交互に映しながらすすんでいく。

 

作家として活躍しているマイケル・テイラー(ライアン・レイノルズ)は、母リサ(ジュリア・ロバーツ)の大学卒業式のために帰郷しようとしていた。
しかし大学教授の父チャールズ(ウィレム・デフォー)に虐待に近い厳しい育てられ方をされたマイケルは、父を嫌いぬいていた。

 

とにかくこの父親、クソ父親である。
何かにつけて息子にいちゃもんをつけて、しごきのような体罰を与える。ウィレム・デフォーも意地悪そうな顔をしているものな。
それにマイケルの子役がまた弱々しそうな子。こんな父親のいる家庭に安らぎなんかこれっぽっちもないのではないだろうか。
よくもまあマイケルもぐれずに成長したものだ。

 

そういった過去の確執を抱えても、母のために帰郷しようとしていたマイケルなのだが・・・。
なんと、父の運転していた車の事故で母は亡くなってしまうのだ。なんということだ。

 

その事故もいくつもの不幸な偶然が重なって起こってしまったものだった。
母の妹の子ども達が庭で野球をしていて、たまたま打ったボールが道路に飛んでしまった。
ボールを追いかけた子どもが道路に飛び出したときに、たまたま父の運転する車が通りかかった。
時間に遅れそうになっていた父は少しスピードを出しすぎていた。
助手席に乗っていた母は、たまたま何か落とし物を拾おうとしてシートベルトを外していた。
父が慌ててハンドルを切った先にたまたま電柱があった・・・・。

 

悲しみの中で母の葬儀がおこなわれる。
妹のラインや、マイケルの別れた妻ケリー(キャリー・アン・モス)がマイケルに寄り添ってくれる。
叔母さん(母の妹)もいい人なんだよな。

 

マイケルの家の2階の窓からは屋根に出られるようになっている。
マイケルは一人になりたいときはいつもその屋根の上に来ていたのだ。
傷心のマイケルが屋根の上で煙草を吸っていると、妹のラインが話し込みにやって来たりする。
そしてケリーもやって来たりする。この二人、やり直せるのではないかな。

 

(以下、映画終盤のネタバレ)

 

こうしてマイケルは母の死を乗り越えようとするのだが、遺品整理をしているときに母の秘密を知ってしまうのだ。
実は、母は父と別れての自立を考えていたのだ。
一方でそんなことは知らぬままに、妻を失った父はこれまでの自分を振り返り、マイケルとの和解がゆっくりとおこなわれていくのだ。

 

どろどろとした父息子の関係だったが、最後にそれが溶きほぐされていく。
かなり重くて、観ているのが辛くなるような展開だったが、最後は少し救われたような気持ちになった。
ジュリア・ロバーツは華があったな。