あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「アデル、ブルーは熱い色」 (2013年)

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2013年 フランス 179分
監督:アブデラティフ・ケシシュ
出演:アデル・エクザルプロス、 レア・セドゥ

一つの愛の物語。 ★★★

高校生のアデル(アデル・エクザルプロス)は、街ですれ違ったブルーの髪の女性に惹かれる。
その美大生のエマ(レア・セドゥ)は、不思議な微笑を浮かべてアデルの心を捉える。
こうして、激しい恋におちた二人はやがて一緒に暮らしはじめる。

180分の長尺の映画で、原題は「アデルの人生 第1章、第2章」というような感じ。

映画を観ていてつくづく驚いたのは、フランスの高校生は、煙草は吸うわ、お酒は飲むわ、セックスはするわ。
普通の高校生が、日本でだったら不良行為とされるようなことを平気でしている。
お国柄の違い、文化の違い、なのだろうが、驚く。へぇ~。

一部ではレスビアンの過激な性愛場面が評判になった映画でもある。
たしかに二人の女優、特にアデル・エグザルコプロスは体当たり演技で頑張っている。
しかし決して卑猥な感じを与えるようなものではなかった。
絵画的に女性の身体の美しさを伝えてくる場面だった。

(以下、あらすじを最後まで書いています。
 この映画は単に筋を追うことにはあまり意味が無いので書いていますが、未見の方はご注意ください)。

時間経過は判りにくい。
いつのまにか、高校生だったアデルは幼稚園の先生になって働いている。
すこしすると、今度は一年生の先生になっていたりする。前の場面からいったい何年が過ぎたのだ?

やがて二人の関係は破綻する。
アデル、君が悪いんだよ。君の背信を知ったエマがどれだけ我を失ったことか、どれだけ悲嘆に暮れたことか。
レア・セドゥが感情を露わにするこの場面はすさまじい迫力だった。

なんでもアブデラティフ・ケシシュ監督は台本を1回きりしか役者に見せなかったとか。
あとは役者の演技に任せたとか。
監督もすごいが、役者もすごい。

さて、別れの何年後かに喫茶店で会う二人。
エマはもう髪をブルーに染めてはいなかった。
必死にエマに想いを伝えるアデル。しかし、別の女性と暮らしているエマはもう冷静だったのだ。

この場面を始めとして、レア・セドゥが男性っぽい雰囲気を充分にかもし出しているので、二人のやりとりはレスビアンというよりは男女のようにみえてくる。
レアの意地悪そうなうすら笑い顔が印象的(だからといって、エマが本当に意地悪だったのではありませんよ)。

さらに何年かが経って、念願だった個展を開いたエマを訪れるアデル。
その個展会場にはアデルをモデルとして描いた絵が何点も展示されている。
あの再会場面は、もう関係がまったく終わってしまっていることをアデルが再確認する場面だったのだろうか。

画廊を出て曲がり角を曲がって去っていくアデルの後ろ姿で映画は終わります。
年上の女性を必死に愛したひとりの女性の恋愛物語を、少し湿っぽい雰囲気(?)で描いた映画です。
カンヌ映画祭パルムドールを獲っています。