あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです(苦笑)。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。

「アモーレス・ペロス」 (1999年)

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1999年 メキシコ 153分
監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
出演:エミリオ・エチュバリア、 ガエル・ガルシア・ベルナル

3つの人生が重なり合う。 ★★★★☆

2年連続でアカデミー賞監督賞を受賞し、今をときめくイニャリトゥ監督の処女作。
やはりこの時からすごかった。

冒頭に、なぜか死にかけている犬を介護しながら逃走する車の内部が映る。
いきなり事件の真っ最中から始まるわけで、観ている者は混乱しながらもあっという間もなく引きこまれる。
そしてその車は烈しい衝突事故を起こす。
この事故が、3つの人生が交差する地点だった。

逃走していたのは貧しい一家で暮らしているオクタビオ
彼は、強盗をしてはすさんだ生活をしている兄の若妻スサナ(どうやらまだ高校生らしい)に好意を抱いていた。
彼は愛犬コフィに闘犬をさせてお金を稼いでいた。
そのお金でスサナと一緒に別の街で新しい生活を始めたいと夢見て。

3組の人生が描かれるのだが、それぞれの物語で犬が大きな要素を担っている。
原題は「犬のような愛」という意味らしい。

売れっ子モデルのバレリアは、不倫相手だったダニエルと念願の新しい生活を始めることができた。
マンションの窓からは自分が映っている大きな宣伝幕も見えている。
愛犬も一緒の生活は満ち足りていたのだが。

沢山の犬を飼っている初老のエル・チーボは浮浪者のような風体である。
しかし、革命運動家で長く牢獄にいた彼は、今はすご腕の殺し屋になっていた。

この3人はオクタビオが起こした交通事故の現場で人生が交差する。
先日観た「イレブン・ミニッツ」は、それぞれの人生がひとつの事故に巻き込まれていくというものだった。
今作では、3組の人生が交差することによってそれからの物語が展開していた。

事故で大怪我を負ったオクタビオはスサナと再会し、駆け落ちの約束をする。
事故で九死に一生を得たバレリアは片足が動かなくなり、モデルとしての人生は潰える。
事故現場から死にかかっていた犬のコフィを助けたエル・チーボは、コフィに自分の飼っていた犬を全てかみ殺されてしまう。

何とも濃密な緊張感が持続する。
3人の人生には、それぞれにやりきれないような挫折感が漂っている。

ラストは、エル・チーボがコフィとともに荒野へ旅立っていく後ろ姿。
交差したのはどれもギスギスとした辛い3組の生き様だったが、このラストだけはかすかな希望のようなものを示唆していた。

はて、この記事はこの映画の魅力を伝えることができているだろうか。
もどかしい。
重い映画ですが、お勧めです。