監督:マイク・バーガー
出演:ヘレン・ハント、 スカーレット・ヨハンソン
2人の女性の人生ドラマ。 ★★★
夫を愛する初々しい新妻と、男を渡り歩いてきた熟女の人生が、アマルフィの美しい風景を背景に交差する。
オスカー・ワイルドの戯曲が原作。
若く裕福なメグ(スカーレット・ヨハンソン)とロバートのウィンダミア卿夫妻がバカンスに、南イタリアのアマルフィにやって来る。
そして、ニューヨークの社交界から追われるように逃げてきたアーリン(ヘレン・ハント)と出会う。
下心がありそうにロバートに接近したアーリン。やがて二人は人目を避けて会うようになる。
そんな二人のことは社交界の噂になり、メグも知ってしまう。
悲しみ、やけくそになる(笑)メグに、かねてからメグを狙っていたプレイボーイが魔の手を伸ばしてくる。
とにかくこの映画、このとき20歳のヨハンソンの初々しい美しさと、かたや40歳のヘレン・ハントの臈長けた美しさの競演。
ときは1930年代。他人の噂話とパーティで時間を潰している(退廃的な)上流社会の有り様が、映画の雰囲気にマッチしている。
実はこの映画、中ごろであっと驚く事柄が明らかになる。
あっ、そうだったんだ!
そこから観ている者はハラハラとすることになる。
おいおい、そんなこととも知らずにメグはそんなことをしてしまっていいのかい? どうなっても知らんぞ。
終盤近く、アーリンはある秘密をメグに打ち明けようとする。そのときにメグに、なにか神聖なものに誓って、と要求する。
メグはあるものに誓う。
その言葉を聞いた時のアーリンの表情が素晴らしかった。
信じられない言葉を聞いた、という怪訝な表情が、これ以上に望む言葉があるだろうかという満ちたりた表情にかわっていく。
ヘレン・ハントの巧みさに脱帽であった。
それにしても、なぜこんな妙な邦題をつけたのだろう。
原題通りの「ウィンダミア夫人の扇」の方がよほど好かったのに。
小道具に使われた扇がとても好く生かされていたのだから。
何の気なしに見始めましたが、面白くて引き込まれて見終わりました。