2016年 インド 140分
監督:ニテーシュ・ティワーリ
出演:アーミル・カーン
スポ根父娘物語。 ★★★
インド映画お得意の歌と踊りはほぼ封印しての140分。
元レスリング選手の父親が、自身が果たせなかった金メダルへの夢を娘に託して鬼の特訓をする物語。
そう、これはインド版・レスリング版・少女版の「巨人の星」なのだ。
ほら、あの主題歌も聞こえて来そう(笑)。
生活のためにレスリング選手生活を諦めたマハヴィル(アーミル・カーン)。
息子に自分の夢を託したかったのだが、生まれた子どもはみんな女の子だった。
そこで、彼は夢を2人の娘、ギータとバビータに託す。
勝手に父親に夢を託された娘の方はいい迷惑だよなあ。
とにかく父親は自分勝手に突き進む。特訓に次ぐ特訓で娘を鍛える。
村の人は呆気にとられ、学校の友達にはからかわれ、もう。こんな生活嫌だぁ。
髪の毛が邪魔だからもうレスリングの練習なんかできないわ、と抗議したら、なんと、ばっさりと髪を切られて丸坊主にされてしまった。女の子なのに!
このあたり、この父親は自分の勝手な夢のために娘を虐待しているんじゃねえの?というぐらい。
しかし、その特訓の効果か、村のレスリング大会で、ギータはなんと男の子に勝ってしまう。
おいおい、凄い女の子がいるよ。
ギータは次第に有名になっていく。
やがて地方大会で優勝したギータは、国の強化選手となり寮生活をはじめる。
本格的なコーチの指導も受ける。これからは俺の指導にしたがえっ!
今まで父の教えしか知らなかったギータは新しい生活で、新しい練習方法をおこなっていく。
すると、これまで絶対だと思っていた父やり方にも疑問を抱くようになっていくのだ。
父にすればそれはとても淋しいこと。
今まで手塩にかけて育ててきた娘が、自分の指導方法に背くなんて・・・。
ついに父とギータはどちらの指導方法が正しいのかを賭けての真剣勝負をおこなう。
その結果は・・・。
妹のバビータも地方大会で優勝して国の強化選手になる。
しかし彼女は姉とは違って父の指導を正しいと信じ続ける。
このあたりからは、父と離れたギータと、あくまでも父に寄りそっていくバビータの闘いになっていくのかと思いながら観ていた。
しかし、そうではなかった。
とても強いのに、国際大会になると何故かいつも初戦で敗退してしまうギータ。
そんな彼女をこっそりと父がまた指導をはじめる。
そして・・・。
レスリングシーンは実に迫力満点。
ルールも、映画の始めの方で娘を指導するときに(観客にも判りやすいように)教えていたので、試合での着目点もよく判る。
この試合、どうなるのだと、映画であることを忘れて見入ってしまうほど。
この父娘は実在の人物だったとのこと。
聞いたところでは、ギータは実際に吉田沙保里選手、伊調馨選手と闘ったこともあるとか。へえ、すごいなあ。
2時間越えですが、そんな長さはまったく気にならない面白さでした。
(おまけ)
DVDにはアーミル・カーンの肉体改造の映像が入っていた。
まずはじめに映画後半のメタボオヤジになった頃の映像を撮り、それから食生活とトレーニングで30kgの減量をしたとか。
お腹だぼだぼだった身体が、筋肉モリモリの身体に変わっていく。すごい。
俳優って凄い努力をするものなのだなあ。