1986年 アメリカ
監督:ジム・ジャームッシュ
出演:トム・ウェイツ、 ジョン・ルーリー、 ロベルト・ベニーニ
まったりとした逃避行。 ★★★★
ザックとジャックは、それぞれ仲間に騙されたり利用されたりして刑務所に入れられてしまう。
その同じ房にイタリア人旅行者のロベルトも入ってくる。
3人はまんまと脱獄に成功して、川を渉り、山野を歩き、旅を続ける。
ジャームッシュ監督らしい肩すかし感が全編にある。
ノワールものらしい雰囲気を出したかと思うと、どこか落ち着かないコメディのような雰囲気にもなったりする。
画面は暗転して切り替わるのだが、この間がなんとも言えない微妙な時間を作っている。
白黒の画面は美しい。
どこを静止画像で切りとっても絵葉書になりそう。
ザックとジャックは、基本的には他人はどうでもいい、興味があるのは自分だけだ、という醒めた感覚で周りと関係しようとしている。
しかしロベルトはどこまでも周りを大事にする性格。
この3人のバランスが絶妙に効いている。
逃避行はどうなるのかと思っていたが、まさか、あんな展開になるとは・・・。
事件が起きているといえば起きているのだが、何も起きていないような、言ってみれば投げやり的な感じで物語は進んでいく。
そこがジャームッシュらしい、たまらない感じなのだな。
「ストレンジャー・ザン・パラダイス」が好きな人だったら、この作品も外せないだろう。
個人的には、ジャームッシュ監督作ではこの2本がやはり好きだな。