2016年 イタリア 98分
監督:パオロ・ジェノベーゼ
出演:ジュゼッペ・パッティスト、 アンナ・フェリオッタ
ブラック・コメディ。 ★★★
古くからの友人の3組の夫婦と一人の独身男性、7人が集った気の置けない月食の夜の食事会。
僕らは友だち同士だ、隠し事なんか何もないぜ。そうよ、秘密なんか何もないわ。
ということで、全員が自分のスマホをテーブルの上に並べる。
さあ、かかってきた電話やメールはみんなで確認するわよ。
ということで始まるひと部屋内だけの、一晩だけのドタバタ劇、あたふた劇。
容易に想像がつくように、誰にだって人には言えない秘密はやはりあるもの。
こんなゲームなんか始めなけりゃよかったのに・・・。
キャッチフレーズは、「あなたのスマホ、愛する人に見せられますか?」です(苦笑)。
たとえば新婚の仲むつまじいはずの夫婦の夫は、親友の妻とダブル不倫をしていた。
その妻は豊胸手術を予定していてその確認電話が入ったりする。
また倦怠期夫婦の妻は義母を老人ホームに入れる準備をこっそりとしていたり。
その夫は浮気をしており、それを隠すために同じ機種の隣のスマホと入れ替えたり。
するとそのスマホにはゲイの恋人からの電話が入ったり。
着想が秀逸で、スマホを見せ合うというこれだけのことで面白いドラマが展開される。
他人の隠し事がバラされるのを、そしてあたふたと慌て取り繕うのを、画面のこちらで高みの見物しているのはおかしい以外の何ものでもない。
当人たちが困れば困るほど面白い。ブラックだなあ。
この映画を観ていると、”親しき仲にも秘密あり”だと思える。
どんな夫婦にだって、隠し事があることによって平穏が保たれていることは有りうるだろう。
更にいえば、隠し事ができない世界になったら人はどうなるのだろう、とさえ思えてくる。
なんの予備知識もいらない映画です。
月食が終わると、修羅場を演じていた人々は何ごともなかったようにそれぞれの家に引き上げていきます。
あの騒動はなんだったんだ?
イタリアの映画の大会で作品賞や脚本賞を受賞しているようです。