あきりんの映画生活

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「サンタ・サングレ/聖なる血」 (1989年)

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1989年 イタリア 122分
監督:アレハンドロ・ホドロフスキー

取り憑かれた両腕の罪。 ★★★☆

名画座の今月の企画は、あのカルト映画の巨匠アレハンドロ・ホドロフスキー特集。
2本ずつを週替わりで上映している。
さあ、ホドロフスキーの2本立てときては、かなり覚悟を決めて観に行かなくては。

映画の主人公は、サーカス小屋で育ったフェニックス。
そして、この映画の核になるのは、二人の男に陵辱され両腕を切り落とされ”聖なる血”を流して死んでいった乙女の伝説物語。
フェニックスの母親コンチャは、その聖なる血を流す乙女像を崇拝するカルト教の狂信的な信者だったのだ。

舞台がサーカス小屋であるから、全身刺青女がいたり、フリークスがいたりする。
フェニックスの周りにある生活は、幻想的というか、悪夢的というか、とにかく通常の概念が通用するような世界ではない。
けばけばしく、卑猥で猥雑で、すべてが作り物のように現実味に乏しい。
まさしくホドロフスキー的世界なのだ。

刺青女と浮気をしている夫に怒ったフェニックスの母コンチャは、夫の性器に硫酸をかける(うへぇ!)。
怒った夫は、妻コンチャの両腕を切り落としてしまう、自分は喉を切り裂いて死んでいく(うへぇ!)。
コンチャも出血多量で死んでいくのだが、フェニックスはこの一部始終をトレーラーの窓から見ていたのだ。

成長して精神病院で暮らしていたフェニックスの元へあらわれたのは、なんと、死んだはずの、両腕のない母コンチャだった。
二人は”コンチャの奇跡の手”と題したショーをおこない始める。
これはちょうど日本の二人羽織のようなもの。
フェニックスがコンチャの両腕となっていろいろなことをおこなうのだが、なんとも奇妙な、不思議な感覚に襲われるショーである。

両腕のないコンチャと暮らしているフェニックスの廃墟のような住処には、あの聖なる血を流す少女像がまつられている。
そしてフェニックスの両腕は、自分の意識から離れてコンチャの命じるままに動き始める。

コンチャは、次々に女性を殺害することをフェニックスの両腕に命じるのだ。
そんなことをしてはいけない、それなのにコンチャに命じられるとフェニックスの両腕は勝手に動き出して・・・。
コンチャの失われた両腕は”聖なる血”を求めているのだ。

幼かったサーカス小屋の日々にフェニックスが好意を抱いていた口のきけない少女アルマがいた。
アルマは、あの刺青女に買われたのだったが、刺青女に虐げられたスラム街で生きていた。
荒くれ男たちに惨殺された刺青女(この映画では誰も彼も惨殺されていく!)の元から逃げ出したアルマは、フェニックスの前に再び現れる。

ホドロフスキーの映画では、物語はどこまでもとりとめもなく広がっていく。
まさしく悪夢を見せつけられているような映画である。
それでも、「エル・トポ」に比べれば、物語は整っているといえる。
描こうとしている物語はわかりやすい。

しかし、ホドロフスキーである。
観るときは、猥雑な喧噪と、悪趣味に見えなくもないグロ・バイオレンスは、覚悟しておきましょう。