あきりんの映画生活

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「ファントム・スレッド」 (2017年)

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2017年 アメリカ 130分
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:ダニエル・デイ・ルイス、 ヴィッキー・クリープス

歪んだ愛憎劇。 ★★★

時は1950年代。
レイノルズ(ダニエル・デイ・ルイス)はイギリスの婦人ファッション界の中心に君臨するカリスマ仕立て屋。
王室からの注文も引きうけるような腕前。
それだけに神経質、完璧主義。彼を支える姉のシリル以外には心を通わす相手もいない。

しかし、そんな彼が若いウェイトレスのアルマ(ビッキー・クリープス)に出会う。
彼女の身体は完璧だ、彼女こそは私の女神だ!

彼女はレイノルズの創作意欲をかきたて、その魅力で虜にする。
アルマもレイノルズに恋い焦がれる。彼が私以外のものに気を取られるなんて嫌!
そんなことを言われてもなあ・・・(苦笑)。

美しいドレス、優雅な音楽。もったいを付けたかのような格調の高い世界。
オートクチュールの服を作るということはこういうことか、とも思わされる。
そんな世界で、お互いに尋常ではない愛で相手を自分のものにしようとする二人。

(以下、ネタバレ)

設定はまったく違うのだが、「顔のない依頼人」を思いうかべてしまった。
あの映画は、とてもこだわりを持った初老の男がある愛に騙されていく映画だった。
それこそ盲目になった愛に身を委ねていく男の、傍目から見れば滑稽なような、イタイような、そんな物語だった。

この映画の主人公も盲目になった愛に身を任せる。
「顔のない依頼人」の主人公よりももっとすごい。愛を独占するために女が盛った毒を、甘んじて受け入れる。
なんと甘美な毒であることか。

アルマが毒キノコを入れたと知りながら笑顔を向けるレイノルズは、究極の愛の快感に酔いしれていたのだろうな(苦笑)。
お前が私を愛するあまりに毒を入れたことは知っているよ。
お前がそうやって入れた毒なら私は喜んで飲み干すよ・・・・・・。

ダニエル・デイ=ルイスは本作を最後に俳優を止めるとのこと。なぜ? 
なにか惜しいなあ。