あきりんの映画生活

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「ブラジルから来た少年」 (1978年)

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1978年 アメリカ 125分
監督:フランクリン・J・シャフナー
出演:グレゴリー・ペック、 ローレンス・オリビエ、 ジェームス・メイソン

ネオ・ナチの陰謀。 ★★☆

奇妙なタイトルだけは知っていたが、どんな映画かは知らなかった。
そうか、ネオ・ナチの陰謀をあつかったサスペンスものだったのか。
それにしても、このタイトルの意味は?

南米パラグアイで旧ナチス党員が秘密めいた会合をおこない、なにやら画策している。
約65歳の公務員などを94人暗殺しろというもの。
その指示を出している人物こそ、多数のユダヤ人で人体実験をした悪魔の医師メンゲレ博士(グレゴリー・ペック)だった。
このメンゲレ医師というのは実在した人物だったというから、怖ろしい。

世界には、本当にまだまだネオ・ナチスの団体があるらしい。
そして一方で、逃亡している旧ナチスの要人を探すナチス・ハンターといわれる人々もいるようなのだ。
決してナチスは過去の遺物になりきっているわけではないのだな。

それにしても、メンゲレが指示した94人もの大量殺戮の目的は、一体何なのか?
これがこの映画の大きな眼目となっている。
実際にあちらこちらで原因不明、犯人不明の殺人が起こり始める。
その動きを察知したナチス戦犯追跡者の長老リーベルマン(ローレンス・オリヴィエ)も、その謎を探ろうとする。

実は、殺された男にはみな15歳の息子がいたのだ。
そしてその息子はみんな、養子縁組でブラジルからやってきた少年だったのだ。
この息子たちの秘密は?

(以下、ネタバレ)

リーベルマンは、その子ども達が皆同じ顔をしていることに気づく。
そして彼らは、厳格な父親を持った陰気な子で、父が65歳で死んだ時に15歳だったあの男のクローンだと知るのだ。
そうなのだ、メンゲレはヒトラーの育った環境因子も似せて第二のヒトラーを作り上げようとしていたのだ。

あの世界初めてのクローン羊のドリーが誕生したのは1996年のこと。
この映画の20年後には、クローン技術の発展も絵空事ではなくなりつつあったのだなあ。

映画の最後、残されたヒトラーのクローン人間である少年が不気味に微笑む。
彼らはあれからどうなったのだろう?
何人ものヒトラーが育った世界になっていった?